阿武町 誤振り込み4630万円の約9割回収 町長辞任求める声

山口県阿武町が給付金4630万円を住民1人に誤って振り込み、返還を拒まれていた問題で、この住民が出金していた3つの決済代行業者が町に振り込んだ4290万円余りについて、町は、6月9日の定例議会で正式に回収が完了したと説明しました。

阿武町が、ことし4月、国の臨時特別給付金、合わせて4630万円を町内の住民1人に誤って振り込み、返還を拒まれていた問題では、この住民が出金していた3つの決済代行業者から、5月、振り込んだ額のおよそ9割にあたる4290万円余りが町の口座に振り込まれました。

この段階では、まだほとんどがこの住民の財産でしたが、9日に開かれた町の定例議会で花田憲彦町長は、裁判所から住民への差押命令が送達されてから1週間がたった8日、効力が発生し、正式に回収が完了したと説明しました。

そのうえで、住民がデビット決済で利用し、まだ回収できていないおよそ340万円については「諦めることなく全額の回収に向けて全力で取り組んでいく」と改めて強調しました。

このほか、議会では、▼町長の月給の50%、▼副町長の月給の40%をそれぞれ3か月カットする条例案が提出されたほか、今回の一連の問題を調査する特別委員会を設置することが発議されました。
条例案などは、6月15日の議会最終日に採決されます。

米津高明町議 「町長は辞職を」

定例議会の一般質問では、共産党の米津高明議員が「1人の若者を犯罪者にしてしまい、職員も疲弊して混乱した。お金がほぼ戻ったとは言え、非常に甘い処分であり、町長は辞職すべきだ」などと、花田町長の辞職を求めました。

これに対して、花田町長は「事前に質問の通告がなかった」として答弁しませんでした。

議会のあと、報道陣の取材に応じた花田町長は「自分への処分は熟慮したうえで決めた。一番厳しい処分にすべきと考えた結果で、軽い処分だとは思っていない」と述べました。

また「これまでに9割以上のお金を回収できた。今後も行政を1歩でも2歩でも前に進めていく」と述べ、引き続き町政運営にあたっていく考えを示しました。