骨太の方針原案「基礎的財政収支」黒字化目標維持も検証明記

5月31日、政府の経済財政諮問会議で、ことしの「骨太の方針」の原案が示されました。
財政の健全性を示す指標「基礎的財政収支」をめぐって、2025年度に黒字化する目標を維持する方針を盛り込む一方、状況に応じ必要な検証を行っていくとしています。

会議で示された原案によりますと、新型コロナ対策をめぐって感染拡大時の病床の増床などを通じて、必要な人が確実に入院できるよう体制を整備するとともに、ワクチンや飲み薬の普及などを進め、新型コロナの脅威を可能なかぎり引き下げるとしています。

また「新しい資本主義」を実現するため「人への投資」を重点分野に掲げたうえで、給付型の奨学金や授業料の減免などの制度について中間所得層で子どもの多い世帯や理系の学生に対象を拡大するほか、結婚や子育てなどを考慮して柔軟に返還できる「出世払い」の仕組みを創設するとしています。

さらに少子化対策として、出産育児一時金の増額をはじめ妊娠・出産に伴う経済的負担の軽減に向けた議論を進めるほか、子どもを性犯罪から守るため、性犯罪歴のある人が保育や教育の仕事に就くのを制限する「日本版DBS」の導入に取り組むとしています。

また、経済安全保障の強化に向け、内閣府に「経済安全保障推進室」を設置し省庁間の事務調整を行う枠組みを整備し、社会保障をめぐっては、行政と関係業界が一丸となって、医療分野のデジタル化を進めるため、総理大臣を本部長とする推進本部を設置するとしています。

このほか財政の健全性を示す指標「基礎的財政収支」をめぐって、2025年度に黒字化する目標を維持する方針を盛り込む一方、状況に応じ、必要な検証を行っていくとしています。

政府は、原案をもとに与党と調整を行い、6月上旬に閣議決定する方針です。

山際経済再生担当相「財政健全化の方針 変えていない」

山際経済再生担当大臣は記者会見で「2025年度のプライマリーバランス=基礎的財政収支の黒字化をやらなくてはならないという方針を変えてはいない。財政健全化に対して何か方針を変えたわけでもないし、後退させたということでもない」と述べました。