「女性版骨太の方針」原案まとまる
働く女性の視点で検討を

女性活躍と男女共同参画のことしの重点方針の原案が27日、政府の会議で示され、「女性の経済的自立」の重要性を指摘したうえで、働く女性の視点に立った社会保障制度や税制の在り方を検討するなどとしています。

ことしの重点方針は、岸田政権の発足後初めてまとめられるもので、原案には「女性版骨太の方針2022」というタイトルが併記されました。

それによりますと「日本の男女共同参画の現状は諸外国に比べて立ち遅れており、背景には、男女間の賃金格差を含む労働慣行や固定的な性別役割分担意識がある」などと指摘したうえで、こうした課題への対応の鍵になるのは「女性の経済的自立」だとしています。

そして、男女の賃金格差の改善に向け、従業員が300人を超える企業に男女の賃金の差の開示を義務づけ、女性がデジタル分野で働くための就労支援を今後3年間、集中的に推進するとしています。

また、配偶者のいない男女や離婚件数が増えていることなどを踏まえ、女の子を育てる際に「結婚すれば生涯経済的安定が約束される」という価値観を持つことのリスクについての認識を広めるとしています。

さらに、働く女性の視点に立った社会保障制度や税制の在り方を検討するとともに、ひとり親を支援するため、離婚後の養育費が確実に支払われる方策を検討し、来年の通常国会に必要な法案の提出を目指すとしています。

政府は、この原案を与党との協議を経たうえで決定し、来月取りまとめる経済財政運営の基本方針「骨太の方針」に反映させることにしています。

松野官房長官「女性の人生は多様化している」

松野官房長官は27日、閣議のあとの記者会見で、女性活躍と男女共同参画のことしの重点方針の原案で、女の子を育てる際に「結婚すれば生涯経済的安定が約束される」という価値観を持つことのリスクについての認識を広めるとしていることに関連し、「現在、50歳の時点で配偶者のいない方が男女ともに3割を占め、離婚件数が婚姻件数の3分の1に上るなど、家族の姿や女性の人生は多様化している」と指摘しました。

そのうえで「従来どおりの価値観で女の子を育てることは、女性の長い人生の中で、経済的に不利益をもたらすリスクを高めることになるとの問題意識がある。性別に基づく無意識の思い込みについては、事例集やチェックシートの活用、ワークショップの開催、教員への研修などを通じて解消に取り組んでいく」と述べました。