シベリア抑留者の資料 ロシアから提供されず 軍事侵攻が影響

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響で、シベリアなどに抑留されて亡くなった人の身元を特定するための資料が3月以降、ロシアから提供されなくなっていることが分かりました。

終戦後、旧ソビエトによってシベリアやモンゴルに抑留された日本兵や民間人は57万人を超え、およそ5万5000人が寒さや飢えなどで亡くなったとされています。

今もおよそ1万4000人の身元の確認ができておらず、厚生労働省はロシアやモンゴルから抑留中に死亡した人の名前や生年月日などが分かる資料の提供を受けて特定を進めています。

厚生労働省によりますと、資料の提供には手数料を支払っていますが、ウクライナへの軍事侵攻に伴う経済制裁で日本がロシアの金融機関を国際的な決済ネットワークから排除した影響で、ことし2月以降の支払いが滞っているということです。

このため3月からロシアから資料が提供されなくなり、身元の特定作業が思うように進んでいないということです。

厚生労働省は「手元にある資料でできるかぎり特定を進めたい」としています。

シベリアに抑留された人や遺族を支援する「シベリア抑留者支援・記録センター」で代表世話人を務める有光健さんは「ロシアに対する経済制裁は仕方がないことだが身元の特定を待っている家族も多いので、軍事侵攻が一日も早く終わり資料の提供を再開してほしい」と話しています。