国家安全保障局室長
届け出怠り事実上更迭

経済安全保障の強化を図る法案の策定にあたってきた国家安全保障局の室長を事実上更迭したことをめぐり、松野官房長官は衆議院予算委員会で、対外的な発表を行う際に、事前の届け出を怠っていたことを明らかにし、引き続き、事実関係の確認を進める考えを示しました。

10日発売の「週刊文春」は、国家安全保障局で経済安全保障の強化を図る法案の策定にあたる準備室の室長を務めていた藤井敏彦氏が、兼業届を出さずにビジネススクールで講師を務め報酬を得ていた疑いがあるなどと報じました。

これについて、松野官房長官は衆議院予算委員会で、藤井氏を事実上更迭した理由を問われたのに対し「国家安全保障局の内規手続きのうち、対外的な意見発表を行う際の事前の届け出を怠っていたことなどが確認されている」と述べました。

また、国家公務員法の守秘義務に違反する行為があったのか問われたのに対し「現在、事実関係の確認、調査中で、お答えは差し控えさせていただく」と述べました。

そのうえで「できるだけ速やかに確認、調査を進めていくことが重要だ。本人からの聞き取りも含めて進めているところで、事実関係が速やかに確認されるよう努力する」と述べました。

経済安保相 “法令に抵触なら厳正に対処”

法案整備を所管する小林経済安全保障担当大臣は、10日の閣議のあとの記者会見で「処分につながる可能性のある行為を把握したため、職務を続行させることは困難だと判断し、異動させることになった。仮に法令に抵触するようなことがあったとすれば、国家公務員としてあるまじき行為であり厳正に対処したい」と述べました。

藤井氏をめぐっては、9日に週刊誌の「文春オンライン」が、届け出を出さずにビジネススクールの講師を長年務め報酬を得ていた疑いがあると報じていました。

国家安全保障局で事実関係を調査していますが、事実上の更迭とみられています。

一方、小林大臣は「経済安全保障は待ったなしの課題だ」と述べて、今月下旬に予定している法案の国会への提出に向け全力で取り組む意向を示しました。

立民 小川政調会長 “参考人招致を”

立憲民主党の小川政務調査会長は、記者会見で「一連の報道について大変憤りを感じている。藤井氏には、国家公務員倫理規程違反の疑いがあるほか、官業の癒着や機密漏えいの疑念もある」と述べました。

そのうえで「本人から、新年度予算案にゆがみを生じさせていないかなどの説明をしてもらうことが、予算審議の前提になるのではないか」と述べ、藤井氏を衆議院予算委員会に参考人招致するよう求めました。