災害発生から48時間以内に
安否不明者名公表へ 静岡県

静岡県熱海市で起きた大規模な土石流での対応を踏まえ、静岡県は災害発生時に安否が確認できない人の氏名などを、発生から48時間以内に公表する方針を決めました。

ことし7月に熱海市伊豆山地区で起きた土石流災害では、発生から2日後、県は市と協力してこの時点で安否が分からなかった64人の氏名を公表しました。

その結果、翌朝までに40人以上の安否が確認されるなど救助の対象が絞り込まれ効果的な活動につながりました。

こうした対応を踏まえ、県は、大規模な災害などが発生した場合、48時間以内に安否不明者の氏名などを公表する方針を決めました。

県によりますと公表に時間を定めるのは全国的にも珍しく、人命救助にとって重要とされている72時間以内の迅速な救助活動につなげたいとしています。

公表するのは、氏名のほか、住所、年齢、性別で、原則として家族の了解を不要としています。

南海トラフの巨大地震など全県に被害が及ぶ場合も、可能な範囲で48時間以内に公表することにしていて、公表からおよそ1週間がたった段階で、行方不明者として扱うということです。

一方、安否不明者がDV=ドメスティック・バイオレンスやストーカーの被害者の場合は公表しないとしています。

警察 約2か月ぶりに土石流不明者の海中捜索

静岡県熱海市で起きた大規模な土石流で今も行方が分かっていない1人を捜すため、警察は12日、およそ2か月ぶりに土砂が流れ込んだ港の周辺で海の中を捜索しました。

ことし7月3日に熱海市の伊豆山地区で発生した大規模な土石流では、これまでに26人が亡くなり、太田和子さんの行方が分かっていません。

土石流は地区内を流れる川を海まで流れ下っていて、警察は太田さんが海まで流された可能性があるとして、12日は2か月ぶりに河口にある伊豆山港周辺の海中で捜索が行われることになりました。

捜索にあたり広域緊急援助隊静岡大隊の高橋勝 大隊長は「行方不明者を必ず発見するという思いを込めて捜索にあたってほしい」と隊員らに伝えました。

このあと潜水士7人が岸壁に沿いながら海の中に入り、海底や岩の間などを念入りに捜すとともに、カメラを搭載した水中探査装置も投入して、陸上にいる隊員らが鮮明に映し出された海底の映像を細かく確認していました。

高橋大隊長は「前回の捜索のときは流れ込んだ土砂の影響でかなり視界が悪かったが、土砂の撤去作業が終わり視界はよくなってきた。月日がたっているが、『行方不明者を発見してほしい』という願いを託されているので、必ず手がかりを見つけたい」と話していました。