20億円近い不正受給や
過払い 会計検査院

国の予算の使われかたを調べる会計検査院が昨年度の報告書をまとめ、新型コロナウイルス対策に関係する事業では、持続化給付金などをめぐって20億円近い不正受給や過払いが確認されたことから、チェック機能が不十分だったなどと指摘し、不正を見逃さない対策の徹底を求めました。

会計検査院は毎年、国の予算が適切に使われているか検査していて、5日、森田祐司院長が岸田総理大臣に昨年度の検査報告書を提出しました。

会計検査院が今回、重点的に検査したのは、昨年度と令和元年度の新型コロナウイルス対策に関係する国の予算についてで、およそ800の事業のうち9つの事業の検査結果を報告書に盛り込みました。

それによりますと、新型コロナの影響を受けた中小企業に最大200万円を支給する「持続化給付金」の不正受給が、ことし9月時点で591件、額にしておよそ6億円に上ることが確認されたほか、雇用を維持しながら休業手当を支払った企業に助成する「雇用調整助成金」では、不正受給や実態より払いすぎたケースがおよそ13億円ありました。
背景には迅速な給付を優先して手続きを簡素化したことがあり、会計検査院は給付後のチェックが不十分だったなどと指摘し、不正があれば返還を強く求めていくよう要請しました。

また、持続化給付金については事務の委託先を選ぶ経緯が不透明だったとして改善を求めました。

一方、報告書全体を見ると検査院が公金の不適切な取り扱いがあったと指摘するなどした件数は210件で、新型コロナの影響で現場での「実地検査」が制約を受けたことから、平成6年度以降、最も少なくなりました。

会計検査院「多額の国費投入 今後も検査」

今回の結果について会計検査院は「新型コロナウイルスの感染症対策については国民の関心が高く、各事業の実施に緊急性が求められていることにも留意しつつ検査を実施した。感染拡大の防止や医療提供体制の確保、雇用の維持などのために一定期間に多額の国費が投入されていることなどを踏まえ、今後も適時・適切に検査を行っていく」としています。