北朝鮮 “新開発長距離巡航
ミサイル 目標に命中”

北朝鮮は13日朝、新たに開発した長距離巡航ミサイルの発射実験に成功したと発表しました。北朝鮮の領土や領海の上空を2時間余り飛行して「1500キロ先の目標に命中した」としています。

13日付けの北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、12日までの2日間に、国防科学院が新たに開発した長距離巡航ミサイルの発射実験に成功したと伝えました。

ミサイルが落下した場所は明らかにしていませんが「わが国の領土と領海の上空に設定されただ円や8の字の軌道に沿って2時間6分20秒飛行し、1500キロ先の目標に命中した」としています。

労働新聞に掲載された写真には、ミサイルがオレンジ色の炎をあげながら移動式の発射台から発射され、飛行していく様子が写っています。

また、今回の発射実験に先立ち、これまで数十回にわたってエンジンの噴出や誘導実験などを行ったとしたうえで「敵対的勢力による軍事的な動きを制圧する戦略的意義がある」としています。

発射にはキム・ジョンウン総書記の側近が立ち会い、「国防科学技術を重視する政策がもたらした結果で、画期的な成果だ。国家の防衛力と戦争抑止力を強化するための事業にさらに奮闘する」と述べています。

北朝鮮は、アメリカ軍と韓国軍が朝鮮半島の有事を想定して先月行った合同軍事演習に強く反発していて、ミサイル開発を推し進める方針に変わりはないことを強調するねらいがありそうです。

北朝鮮をめぐっては日米韓で北朝鮮問題を担当する政府高官が、今週、東京で協議を行い、北朝鮮の非核化などについて意見を交わす予定になっています。

ミサイル発射は3月以来

北朝鮮のミサイル発射はことし3月以来です。

韓国軍の関係者によりますと、3月21日に西部のピョンアン南道オンチョン付近から巡航ミサイルと推定される2発が発射されたということです。

また3月25日には、東部のハムギョン南道ハムジュ付近から日本海に向けて弾道ミサイル2発が発射されました。

その翌日、北朝鮮は「新型戦術誘導弾」の発射実験を行い、朝鮮半島から東に600キロの日本海上の目標を正確に打撃したと発表していました。

日本国内の反応は

防衛省関係者は「報道は承知しているが、引き続き情報収集と分析を進めている。日本のEEZ=排他的経済水域内に落下するなど、ただちに安全保障に影響するような事案ではない」と述べました。

また、政府関係者はNHKの取材に対し「情報を分析し精査しているが、少なくとも現時点では日本の領空、領海やEEZ=排他的経済水域に来たという情報は入っていない」と述べました。

航空自衛隊で司令官を務めた元空将の永岩俊道さんは、「弾道ミサイルと違って北朝鮮の巡航ミサイルについては十分な情報がなく、信ぴょう性を含めて評価が難しい」と話しています。
そのうえで、伝えられた内容が事実だとした場合の日本などへの影響については「1500キロ飛行できる能力があるとすれば東京まで届くことになり、相手の脅威の圏外からピンポイントで重要目標を攻撃できる『スタンドオフ攻撃能力』として、戦術的に有効なミサイルと言えるだろう。巡航ミサイルは一般的には速度は遅いものの、超低空を飛行し、精密に誘導することが可能なためレーダーでの探知も難しく、脅威になる。ミサイルの性能などについて分析を進めることが急務だ」と指摘しています。