熱海土石流 盛り土造成工事
過去に県市が事業者を指導

今月3日、静岡県熱海市で発生した土石流で、土石流の起点にあったとみられる盛り土は、12年前からの造成工事で土砂が搬入されましたが、静岡県によりますと、届け出よりも開発地域を広げたことや、盛り土に産業廃棄物が混じっていたことが発覚し、盛り土を行った事業者に対し、当時、県と市が是正するよう指導していたことがわかりました。

熱海市伊豆山で起きた土石流で、静岡県は、上流の崩れた盛り土が「被害を甚大化させたとみられる」として、盛り土がされた状況などの調査を進めています。

7日午後、会見を開いた静岡県の難波喬司 副知事によりますと、平成18年に神奈川県小田原市の不動産業者が土地を取得したあと、平成19年「静岡県土採取等規制条例」に基づいて、1ヘクタール近い土地で造成工事を行う計画を市に届け出たということです。

しかし、無断で開発地域を広げていた林地開発許可違反が発覚したため、県が是正するよう指導し、是正が完了したとして、12年前から土砂が運び込まれるようになりました。

3万6000立方メートル余りの盛り土を行う計画で、平成22年の8月には造成工事がおおむね完了したということです。

その後、盛り土の中に木くずなどの産業廃棄物が混ざっていることがわかり、熱海市と保健所が指導して搬出させたということです。

県と市は今後、土石流との関連についても調べるとともに、さらに土砂崩れが起きないよう対策を早急に検討するとしています。

業者 弁護士に「許可を取っているので悪くない」

今回の土石流の崩れた盛り土があった土地の登記簿によりますと、この土地は平成18年の時点で小田原市の不動産業者が所有していました。

土石流の発生翌日、この業者の代表取締役の男性から代理人を務めるよう依頼された、蜂谷英夫 弁護士によりますと、男性は通常の手続きを経て、この土地の開発をしたと話したということです。
蜂谷弁護士は「男性から電話があり『土石流があった場所は自治体に開発申請をして自分が開発した土地だ。許可を取ってやっているので悪くない』と話していた。書類を見ていないので細かいことは分からない」と話していました。

また、この業者が開発の過程で盛り土をしたかどうかについては分からないとしています。

そのうえで「開発に関わる書類一式を事務所に持ってきてほしいと業者に伝えたが、その後、代理人を務めてほしいという依頼は断った」と話していました。

土石流 起点とみられる盛り土 当初計画の約1.5倍の量か

県が土石流の起点とみている場所の盛り土の規模を分析した結果、当初、届け出にあった計画のおよそ1.5倍の量だったとみられることがわかりました。県は大量の盛り土が土石流の被害を大きくした可能性があるとみて、いきさつを詳しく調べています。

熱海市伊豆山で起きた土石流で静岡県は、土石流の起点とみている上流部で崩れた盛り土が造成されたいきさつを7日、明らかにしました。

それによりますと、14年前の平成19年に神奈川県小田原市の不動産業者が「静岡県土採取等規制条例」に基づいて、熱海市に対し3万6000立方メートル余りの盛り土を造成する計画を届け出ていたということです。

そして、届け出から2年後の平成21年に土砂が搬入されるようになりましたが、業者が開発する土地の面積を無断で拡大していたほか、搬入後には土砂に木くずなどの産業廃棄物が混ざっていることが発覚し、県と熱海市が業者側に是正を指導していました。

さらに、平成22年には市が業者に対して土砂の搬入と工事の中止を要請したところ、よくとしの平成23年には土地の所有者が変わっていたということです。

また、今回の土石流を受けて、国と県のデータをもとに去年1月時点の盛り土の規模を分析したところ、高さは50メートル、土砂の量は5万4000立方メートルと推定され、最初に小田原市の業者が届け出た3万6000立方メートル余りという計画のおよそ1.5倍の量だったとみられることがわかったということです。

県は大量の盛り土が土石流の被害を大きくした可能性があるとみていて、より大きな規模の盛り土が造成されたいきさつなどについて詳しく調べています。