高齢者に接種 都内23区と
5市の約9割で7月完了予定

新型コロナウイルスの高齢者へのワクチン接種について、NHKが東京都内の28の自治体を取材したところ、9割近い自治体が7月中に高齢者の接種を終える予定であることが分かりました。一方で、医療従事者の不足を懸念する声もあり、予定どおり接種が進むかどうかは、なお予断を許さない状況です。

新型コロナウイルスの高齢者へのワクチン接種をめぐって、政府は「7月末を念頭に希望する、すべての高齢者に2回の接種を終えられるよう取り組む」としています。

この方針を受けて、当初の接種計画を見直すかどうか、NHKが都内の23区と人口20万人以上の5つの市の合わせて28の自治体に聞いたところ、渋谷区、港区、品川区、大田区、北区、板橋区、葛飾区、台東区、調布市、それに町田市の10の自治体が、8月以降としていた予定を前倒しして、いずれも政府の方針通り7月中に終えたいと回答しました。

これにより、当初からおおむね7月中に接種を終えるとしている15の自治体と合わせ、9割近い25の自治体が希望する高齢者への2回の接種を国の方針に沿った形で終える予定であることが分かりました。

残る3つの自治体のうち、足立区は「当初の予定より前倒ししたいが、7月中に終えるのは難しい」としているほか、府中市は「前倒しを検討したが8月までかかる見込み」と回答し、世田谷区は「現在は8月に終わる見込みだが見直すか検討している」としています。

「予定を前倒しする」と回答した自治体の多くが、集団接種の会場や個別接種を行う診療所の数を増やしたり、個別接種の開始時期を早めたりしたいとしていますが、品川区は「予定を前倒しするためには、医療従事者の協力が必要で調整中だ」としているほか、渋谷区も「医師会を通じて個別接種の予約枠を増やしてもらうよう要請している」と回答しています。

さらに課題として、港区は「高齢者より優先される医療従事者への接種がまだ終わっていない」という点を挙げているほか、八王子市は「集団接種の会場に高齢者が予定時間よりかなり早く到着してしまい、外で待つ人が増えたり、会場内が密になったりする状況も見られる」という点を挙げて、対策の必要性を訴えていて、予定どおり接種が進むかどうかは、なお予断を許さない状況です。

このほか、国の大規模接種をめぐって、対象となっている65歳以上の人でも接種券が届かず予約ができない事態が発生していることについて「国からの情報が遅く混乱している」とか「国の方針に振り回されてる」といった声も聞かれました。