ミャンマー 軍に拘束
北角さん解放求める署名提出

ミャンマーで軍に拘束されているジャーナリスト、北角裕樹さんの早期解放を求めて、日本のジャーナリスト仲間などがおよそ3万4000人分の署名を集め、27日、内閣府に提出しました。

ミャンマーの最大都市ヤンゴンを拠点に活動している北角裕樹さんは今月18日の夜、治安部隊によって自宅のアパートから連行され、うその情報を流した疑いなどで、ヤンゴン市内のインセイン刑務所で拘束されています。

北角さんを知る日本のジャーナリストなどおよそ80人は、インターネット上で署名を呼びかけ、27日、3万3908人分を内閣府に提出しました。

署名では北角さんが「軍事政権に対抗し、ミャンマー市民と日本や世界をつなぐ“懸け橋”を担ってきた」として、北角さんを一刻も早く救出し、軍による市民の弾圧をやめさせるよう強く働きかけることを、日本政府に求めています。

署名の呼びかけ人のひとりで東京新聞の望月衣塑子記者は「拘束後は連絡がとれておらず心配している。日本政府には多くの人の声をきっちり受け止めてもらい、厳しい態度をとってもらいたい」と話していました。

ジャーナリストの綿井健陽さんは「ミャンマーでは北角さんだけでなく多くの報道関係者がいまも拘束されていて、拘束が長期化することを懸念している。何としてもすべての拘束されている人の解放を求めたい」と話していました。

専門家「粘り強く働きかけを」

ミャンマー軍が著名人やジャーナリストを拘束したり、暴行された市民の写真を公開したりしていることについて、ミャンマー政治に詳しい京都大学東南アジア地域研究研究所の中西嘉宏 准教授は「軍は、抵抗する市民を政治闘争の敵と見なし、その敵に対して警告を与えて萎縮させようとしている。これは、自分たちの政敵を排除するという最終的な目的に向けた行動の1つと考えられる」と述べました。

そのうえで「軍としては、抵抗運動を抑え込んだうえで、政府の統治能力を元に戻したいという意図が見られるが、恐怖による統治というのは必ず反発や不満が生まれるので軍が考えているほどうまく進むようには思えない」と指摘しました。

また、ASEANの首脳級会議に軍のトップ、ミン・アウン・フライン司令官が出席したことについては「ミャンマーの軍事政権は伝統的に外国からの介入を嫌って内向きに孤立してしまう傾向があり、今回も国際社会からの批判に聞く耳を持たないなかで、軍のトップに直接働きかける場ができたという点では1つの成果だ」と評価しました。

そして「けさの国営紙では会議の合意内容について国益を考慮しながら検討するとしていて、軍としてはクーデターの正当性を主張する場としか考えていない可能性もあるが、今回のチャンネルを生かして、二の矢、三の矢と粘り強く働きかけていくしかない」と述べたうえで、日本政府にはこうした働きかけへの具体的な支援が求められていると指摘しています。