政府分科会 感染再拡大防止
の新指標 提言まとめる

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会は15日、感染の再拡大を防ぐための新たな指標について提言をまとめました。感染拡大の兆しを捉え、早期に強い対策を行うための指標を示したほか、これまでの指標に新たな項目を加えるなどしています。

これは15日、新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会の尾身茂会長が会見を開いて公表しました。

分科会では、去年、感染状況を4つの「ステージ」に分け、どのステージにあるかを判断する指標として病床使用率やPCR検査の陽性率などの項目を示していました。

しかし、提言では、国と自治体、専門家との間で認識が迅速に共有されず、感染が拡大しそうなときに急ブレーキをかけるための「サーキットブレーカー」として機能しないこともあったとして、これまでの「ステージ」の指標に加え、感染拡大の兆しを早期に捉えるための指標が示されました。

具体的には感染が若い世代を起点に高齢者に広がることから、20代から30代の若い年代を中心とした感染者数の動向や、歓楽街の夜間の人出などの5つの項目を示したほか、強い対策をとるタイミングの指標として「都道府県が最大限確保する病床が2週間から4週間で満床に達することが想定される場合」や「夜間の人出が2週連続で大きく増加した場合」などの3項目を挙げました。

また従来の「ステージ」を判断するための指標も一部見直しました。

このうち新たな項目として示されたのは感染者のうち入院できている人の割合を示す「入院率」で、状況が悪化すると低下するとして「ステージ3」は40%以下、「ステージ4」は25%以下としました。

そのうえで、指標を用いて基本的に「ステージ3」と判断されれば、「サーキットブレーカー」として速やかにまん延防止等重点措置を含めた強い対策を早期に講じることが重要だとしています。

尾身会長「新指標 病床ひっ迫防止により重点」

分科会の尾身茂会長は15日午後、記者会見を開き「新しく決めた指標は、病床のひっ迫を防ぐことにより重点を置いたものだ。感染拡大が一定以上進めば早晩、医療がひっ迫するおそれがあり、先手を打ってまん延防止等重点措置などを実行に移す必要がある。タイミングが遅れれば医療のひっ迫が深刻になるため、行政には今回の指標をもとにした迅速な判断を求めたい」と述べました。

また、現在の感染状況や医療の状況については「大阪府のデータを見ると、重点措置の適用以降、夜間の人流が減少傾向にあり、いずれ新規感染者の数は下がってくる可能性がある。ただ、それには時間がかかるし、今、重症者が増加し、医療は相当ひっ迫していて深刻な負荷がかかっている状況だ。一方で東京都のデータでは重点措置の適用以降、あまり夜間の人流が減少していない。東京でも早晩、関西と同じような事態になる可能性があり、強い警戒が必要だ」と指摘しました。

そのうえで、尾身会長は「現在は広範囲に感染源が存在し、多様な場所で感染が起こりやすくなっている。すでに多くの人が協力してくれているが一部で対策がいまだ不十分な部分がある。変異株の影響という新たな事態に直面している現実を受け止め、国や自治体には迅速な判断を行ってもらい、市民の皆さんには接触機会の削減のための行動変容により協力をお願いしたい」と呼びかけました。