使途不明4億円超 幼稚園
連合会の事務局長が口座管理

「全日本私立幼稚園連合会」で少なくとも4億円を超える資金が使途不明になっている問題で、連合会の事務局長が、関連団体の公益財団法人や河村元官房長官が会長を務める団体の口座についても、一元的に管理していたことが分かりました。連合会の調査に対し事務局長は「香川敬前会長の指示で現金を引き出した」と説明し、去年12月に退職したということです。一方、香川前会長は「口座の管理は事務方が行っており、個人的な流用は断じてしていない」と説明しています。

全国およそ7500の私立幼稚園が加盟する「全日本私立幼稚園連合会」をめぐっては、今年度までの4年間で、少なくとも4億円を超える資金が使途不明になっていることが明らかになっています。

また、河村元官房長官が会長を務める関連団体の「全日本私立幼稚園PTA連合会」でも、今年度、4100万円が使途不明になっているほか、関連団体の公益財団法人「全日本私立幼稚園幼児教育研究機構」では、およそ1億4000万円が一時、引き出され、去年11月の監査の直前に戻されていたということです。

幼稚園連合会によりますと連合会と2つの関連団体は、いずれも東京 千代田区の同じ場所に事務所があり、連合会の事務局長が3つの団体の口座の出入金を一元的に管理し、通帳や印鑑も保管していたということです。

連合会の調査に対し事務局長は「香川前会長の指示で現金を引き出した」と説明し、去年12月に退職したということです。

一方、香川前会長はNHKの取材に対し「口座の管理は事務方が行っており、個人的な流用は断じてしていない。カネが何に使われたのかは全く分からない」と説明しています。

幼稚園連合会は香川前会長の弁解は極めて不合理だとして、今後、刑事告訴や民事訴訟も視野に断固とした対応を取るとしていて、関連団体の資金の流れについても改めて調査を進めるとしています。

全日本私立幼稚園PTA連合会とは

関連団体の「全日本私立幼稚園PTA連合会」は、昭和61年12月に設立された任意団体で、全国各地の私立幼稚園のPTAなどが加盟し、現在の会長は自民党の河村建夫元官房長官が務めています。

ホームページなどによりますと、各地の団体が支払う園児1人当たり50円の分担金などが財源になっていて、年間の予算規模はおよそ5000万円だということです。

PTA連合会は幼稚園連合会と連携して、保護者の負担軽減のための公費助成などの拡充について、政府や国会に強力な運動を推進するとしています

全日本私立幼稚園幼児教育研究機構とは

「全日本私立幼稚園幼児教育研究機構」は、幼児教育に関する調査・研究や教育力の向上などを目的に幼稚園連合会が基金を拠出し、平成18年2月に設立された内閣府所管の公益財団法人です。

研究機構には全日本私立幼稚園連合会の会員が所属していて、会費の徴収は連合会が代行しています。

ホームページなどによりますと、令和元年度の収入は2億4200万円余りで、このほか定期預金などの資産が合わせて1億7700万円余りとなっています。

ホームページで公開している事業計画書によりますと、主な事業として各都道府県で教員の免許状更新のための講習や、幼稚園の園長やリーダー職員を対象にした研修などを実施するとしています。