震災10年 沿岸自治体では
震災前より人口減少も

東日本大震災と東京電力福島第一原発の事故の発生から11日で10年です。各地では新型コロナウイルスの対策を取ったうえで追悼式が行われ、住民などが祈りをささげます。

10年前の3月11日、東北沖でマグニチュード9.0の巨大地震が発生し、高さ10メートルを超える大津波が押し寄せました。

警察によりますと、東北地方では宮城、岩手、福島、青森、山形の5県で合わせて1万5838人が亡くなり、2522人が今も行方不明のままです。

また、避難生活による体調の悪化などで亡くなったいわゆる「震災関連死」は今月9日までに岩手、宮城、山形、福島の4県で合わせて3721人となっています。

震災から10年となることしは、新型コロナウイルスの対策を取ったうえで多くの自治体で追悼式が行われ、住民などが祈りがささげます。

この10年間で、被災者向けの災害公営住宅は、岩手、宮城、福島、それに青森の4県で計画していたおよそ3万戸がすべて完成し、かさ上げ工事などで整備した宅地も計画していた1万8000戸余りのすべてが完成しました。

一方、岩手と宮城の沿岸の自治体で、先月の時点で震災前より人口が多くなっているのは仙台市とその周辺の合わせて4自治体のみで、残る24の自治体は震災前を下回っています。

特に▼宮城県女川町がマイナス42.99%、▼岩手県陸前高田市がマイナス21.79%などとなっていて、地域間の格差が目立っています。

震災から10年を迎えた被災地では、復興事業で整ってきたハード面の環境をどのように生かして暮らしの再建につなげるかが、課題になっています。

一方、原発の事故のあと、福島県内11の市町村に出された避難指示は、去年3月までに当初の7割の地域で順次解除されました。

しかし、これらの地域に帰還するなどして住んでいる人は1万4000人余りと、住民票の登録者数の30%ほどにとどまっています。

また、立ち入りが厳しく制限される帰還困難区域には、依然、浪江町や双葉町、大熊町など7つの市町村の合わせて337平方キロメートルが指定されています。

国は帰還困難区域のうち8%にあたる地域について、除染などを進めたうえで2年後までに避難指示を解除する計画ですが、残る92%については事故から10年が経過する今も解除に向けた具体的な時期や方針を示せず、国の対応が問われています。