優生保護法での不妊手術
海外例参考に補償額調整へ

旧優生保護法のもとで強制的に不妊手術が行われていた問題で、与党の作業チームと超党派の議員連盟はそれぞれ会合を開き、手術を受けた人に支払う一時金の額について、海外の補償例も参考に、調整を進めることを確認しました。

平成8年まで施行された旧優生保護法をめぐって、与野党は、本人が同意したケースも含め、不妊手術を受けたおよそ2万5000人を対象に、専門家で構成される認定機関で手術を受けたことが認められれば、一律の額の一時金を支給することなどを盛り込んだ法案を、議員立法の形式で今の国会に提出する方針です。

1日、与党の作業チームと超党派の議員連盟がそれぞれ会合を開き、法案を来月にも提出する方針を申し合わせました。

そして、一時金の額については、スウェーデン政府が、20年余り前に制定された同様のケースを救済する法律に基づき、今の日本円に換算して300万円余りを補償した例を参考に調整を進めることを確認しました。

ただ、与野党からは、スウェーデンの例よりも上積みしなければ納得は得られないという指摘も出ていていて、上積みも含め検討を行うことにしています。

手術に関する記録 5400人分

旧優生保護法のもとでは本人が同意したケースも含めておよそ2万5000人が障害などを理由に不妊手術を受けたとされています。

厚生労働省が全国の自治体を対象に記録の保管状況を調べた結果、手術に関する記録が35の都道府県で合わせて5400人分残されていたことが今回新たにわかりました。

厚生労働省によりますと、手術を受けたことが確認できる記録が3079人分、手術の必要性が認められた記録が2105人分、手術の申請を行った記録が216人分、それぞれ残されていたということです。

現在、与党の作業チームと超党派の議員連盟が検討している救済法案では、何らかの記録が残っているこの5400人については一時金の支給を申請した場合、速やかに受け取れる仕組みになる見通しです。

一方、記録が残っていない人については厚生労働省に設けられた専門家などで作る審査会が家族の証言や医師の診断などをもとに、手術を受けたことを認定するということです。

しかし、一時金の受け取りには本人の申請が必要とされていて、自治体や福祉施設などを通じて広く周知するとしていますが、障害が重くみずからの意思を表せない人をどこまで救済につなげられるかが課題となっています。