ページの本文へ

NHK岡山WEBリポート

  1. NHK岡山
  2. 岡山WEBリポート
  3. 岡山発 阪神・淡路29年「ペットも人間も安心して避難を」

岡山発 阪神・淡路29年「ペットも人間も安心して避難を」

NHK岡山「もぎたて!」防災
  • 2024年02月08日

令和6年1月17日で阪神・淡路大震災から29年です。当時、兵庫県でペットの保護活動にあたった獣医師が岡山市にいます。みんなが安心して過ごせる避難所にするため、ペットを飼っている人とそうでない人の相互理解を進める必要があると訴えています。
(岡山放送局 記者 美濃田和紅)

彼女はその時

阪神・淡路大震災で被災したペットたち

岡山市北区にある動物病院の獣医師、甲斐みちのさん(63)は29年前、少しでも役に立てないかと、阪神・淡路大震災の直後、ボランティアとして神戸市に駆けつけました。震災で6434人が死亡し、多くの住宅が壊れるなか、行き場を失った犬や猫も多数にのぼりました。甲斐さんは、こうしたペットを保護していた神戸市内の施設で、けがをした動物の治療や世話にあたりました。

甲斐さん

犬の鳴き声に猫がおびえることがあるので、場所を分けるなどして対応していた。動物のためにいろいろ送ってくださる方がいたのはいいが、大量の支援物資をトラックから降ろしたり仕分けたりするのは大変だった。

西日本豪雨でも活躍

西日本豪雨の被災地で活動

その後、東日本大震災などでも支援活動にあたりました。甲斐さんは、県内での災害に備えて、ほかの獣医師らとともに連絡網をつくりました。この連絡網を生かして、平成30年の西日本豪雨では仲間とともに▼倉敷市内の避難所で巡回診療を実施し、▼仮設住宅やみなし仮設住宅にペットも一緒に入居できるよう、倉敷市に掛け合うなど活動しました。

VMAT結成

岡山VMATを結成

そして令和2年、中国・四国地方で初めてとなる動物医療支援チーム「岡山VMAT」を結成し、甲斐さんが隊長に就任しました。このチームは、災害医療や公衆衛生など専門の知識を身につけた獣医師や訓練士がメンバーで、災害発生から48時間以内に犬や猫の診察や健康相談に応じる計画です。

活動を広く知ってもらおうと、令和5年8月にはチームで岡山市の防災訓練に参加。避難所でのペットの居場所となる「スターターキット」を準備し、飼い主に組み立てを実践してもらいました。

甲斐さんの訴え

少子高齢化などで世帯の人数が減る今、甲斐さんは、「ペットは家族で生きがいだ」という人が少なくないと言います。こうした人たちが災害発生時、避難所で安心して過ごせるようにするために、甲斐さんは、動物を飼う人と飼わない人とのスペースを分ける必要性を指摘します。ペットがいない人にそのことを理解してもらうためにはどうすればいいのでしょうか。

甲斐さん

飼い主が、日頃から動物をクレートやケージに入れる練習をしたり、知らない人におやつをもらってなでてもらったりして、いろいろな人に触られても大丈夫な子に育てていく。「人間は優しい」「人間はみんな親切だよ」というふうに、動物自体が思えるように訓練していくことがすごく大事ですね。

力になるには?

阪神・淡路大震災で大量に送られてきた支援物資

甲斐さんは、1月に発生した能登半島地震について、「何とか助けてあげたいという気持ちは分かりますが、阪神・淡路大震災でも支援物資の仕分けが大変でした。被災地のことを考えると支援物資ではなく、ぜひ支援金を」と話していました。岡山県獣医師会は支援金の寄付を募っています。寄せられた支援金は能登半島地震で被災した動物の救護などに使われるということです。振込先は以下の通りです。

中国銀行 大元支店 普通預金 口座番号1669867

  • 美濃田和紅

    NHK岡山放送局 記者

    美濃田和紅

    2022年入局
    岡山出身 県警担当
    飼い犬の名前は「まめもち」

ページトップに戻る