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新潟 コロナ5類移行でどうなる?学校・福祉・飲食業の対応は

アルビレックス新潟はホーム全席で声出しもOK
  • 2023年02月28日

新潟県内で新型コロナウイルスの感染が初めて確認されてから2月末で3年となりました。政府は新型コロナの感染症法上の位置づけを5月8日に季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行することを決めています。政府の方針を受けて卒業式ではマスク着用を求めないという判断も。教育や福祉、飲食業など現場の対応や専門家を取材しました。
(新潟放送局 取材班)

3年ぶりに披露する「歓喜の歌」

2月15日。私たちは新発田市の市立第一中学校を取材で訪れましたが「ある変化」が起きていました。

この中学校では卒業生がベートーヴェンの交響曲第9番、通称「第九」の一部にあたる「歓喜の歌」を卒業式で披露するのが習わしとなっていました。

一方、去年までの2年間は新型コロナ対策として事前に収録した動画を再生していました。

今年も卒業式での合唱は行いませんが、新型コロナの感染が落ち着いてきたこともあり、在校生に合唱を披露する場が設けられたのです。

在校生へ直接披露するのは3年ぶりです。

卒業生は入学以来、コロナ禍の学校生活を送ってきました。

学びやを巣立つ上級生の迫力ある合唱に、在校生たちからは盛んな拍手が送られました。

この取材の直前、2月10日には政府が学校の卒業式で児童や生徒はマスクを着用しないことを基本とする方針を決定。

これを受けてこの学校でも卒業式で卒業生はマスクを着用しないことにしました。

卒業生
本当は卒業式で合唱を披露したかったけど、きょうのような場を設けてくれてうれしい。後輩たちにはマスク無しで伝統の『第九』を歌ってほしい。

新発田市立第一中学校 萩野喜弘 校長
卒業生の『直接歌を届けたい』という気持ちに応えたかった。この3年間ずっとマスクをしてきたなか、最後はマスク無しで笑顔で卒業してもらいたい。

歌声披露の様子はこちら

高齢者施設では ボランティア受け入れ再開も

「変化」は高齢者施設でも出ていました。

新潟市北区にある特別養護老人ホーム「なぎさの里」では新型コロナの感染拡大以降、生け花などを楽しむ地域のボランティアとの交流活動を中止してきましたが、感染症法上の位置づけを5類にする政府の方針などを受け、今後再開することになりました。ただ、感染症リスクも勘案してカラオケなどどんなことを実施するかは慎重に検討していきたいとしています。

また、国内の感染拡大を受けて去年12月から見合わせていた家族との面会については2月下旬から時間を10分に限って再開し状況を見ながら緩和していきたいとしています。一方、高齢者の健康を守るためマスクの着用は続け、消毒や換気といった基本的な感染対策を徹底したいとしています。

看護主任 林栄美さん

看護主任 林栄美さん
感染対策に関して大きく変わる要素は無く、むしろ施設の外での感染リスクが今後高まると思うので注意していきたい。ただ、地域との交流は利用者の楽しみになっていたので徐々に再開していきたい。

アルビレックスはホーム全席で声出し応援可

サッカーJリーグでは感染対策で制限されていた声を出しての応援が今シーズンからすべての席でできるようになり、収容人数の制限もなくなりました。

3月4日がホーム開幕戦となるアルビレックス新潟はリーグが示した新たなガイドラインに沿ってホームのスタジアムで行われる試合では収容人数4万人あまりのすべての席で声を出しての応援を認めるとしています。

その上で、当面、声出し応援をするかどうかに関わらず、来場時は常にマスクを着用するよう求めています。

また、売店を利用するときなどは人との距離をとるなどの対策を呼びかけています。

ただ、Jリーグは野々村芳和チェアマンが声出し応援でのマスク着用について3月13日から個人の判断に委ねる方針を示していて、アルビレックスはルールを変更することも検討しています。

厳しい状況続いた飲食業 歓送迎会などの需要復活に期待

飲食業界も新型コロナで大きな影響を受けました。

新潟市中央区の古町地区にある居酒屋では、令和4年に県内でまん延防止等重点措置が適用され、営業時間の短縮要請が出された際、1か月ほど休業を余儀なくされました。

店によりますと、このところ新規の感染者数が減っていることから10人以上が参加する会合の予約も入るようになったということで、3月以降は歓送迎会など需要が回復することに期待しています。

店では当面、店舗入り口でのアルコール消毒や店員のマスク着用を続けるほか、大人数の会合であっても利用客の希望に応じて料理を小分けして提供するということです。

居酒屋「海老の髭」 小林克実店長
一時は街からお客さんが全くいなくなってしまったが、今はにぎわいも戻ってきている。昔のように大人数でも飲食を楽しめるよう店としても工夫していきたい。

「5類」移行でどうなる? 専門家は

感染症法上の位置づけが見直されるのに伴い、政府や都道府県の対策本部は廃止され、緊急事態宣言や入院勧告・指示、感染者や濃厚接触者の外出自粛要請などの行動制限はできなくなります。

また、医療提供体制について、入院の受け入れや診療ができるのはこれまで感染症指定医療機関や発熱外来など一部の医療機関だけでしたが、幅広い医療機関で対応できるよう段階的に移行する方針です。

詳しくはこちらの記事を↓
コロナ「5類」でどうなる?なぜ5月8日?懸念は?QAで詳しく』

この3年間の振り返りや今後について感染症対策を専門とする新潟大学大学院の菖蒲川由郷 特任教授に話しを聞きました。

Qこの3年の振り返りと今後の課題は?

菖蒲川 特任教授
新型コロナが出現した当初は全く得体の知れないものでしたが、1~2年がたつなかでワクチンの接種が進み、病気自体の影響も変わってきたのではないかなと思います。
3年間を総じて言うならば、県や市町村、県民の皆さんの協力のおかげで新潟県は死者もすごく少なく抑えられて、そして、あってはいけないような亡くなり方をした人もいないということで、非常に対策がうまくいったんじゃないかなと思います。第8波が収まりつつある中で、どうこのコロナと一緒に共存していくか、5類移行への対応が今後の課題となっています。

Qマスク着用が3月から個人の判断に委ねられることについては。

菖蒲川 特任教授
感染したらリスクがある人とかなんとなく体調悪い人は引き続きマスクを着用する必要がありますが、日常生活で全部必要ですかというとそうでない場面もあります。どれくらい人ごみにいくか、屋内か屋外かでも変わってくるし、状況にあわせてマスクをつける外すの選択するのは個人の判断になります。ただ、つける外すの考え方も一様ではないと思います。こうした責任を持って行った判断をお互いが許容しあう必要があります。

Q感染症法上の位置づけが「5類」に移行する

菖蒲川 特任教授
医療費はこれまでは国がまかなってくれたのが自己負担が通常通りかかるようになってきてどのくらい補助が入るのかもこれからの議論ですし、ワクチンについても国民負担がないようにということで議論進んでいます。
ワクチンについて詳しくはこちらの記事を↓
『コロナ5類でワクチン接種これからどうなる? Q&Aで詳しく』

『5類』に変わるからといって、普通のかぜであり一切気にしなくてよいと考えるのは行き過ぎです。今後も少し毒性が強く、感染した場合に命にかかわる変異株などが出てくる可能性はゼロではないです。そうした場合はこれまでのような厳しい対策に戻すなど『柔軟性』を持つことが大事で、県民も正しい情報を得て生活していくことが必要ではないでしょうか。

放送した動画はこちら

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