名古屋市民はマイナンバーカードで住民票交付×なぜ マチコエ
- 2024年01月23日
健康保険証などとひも付けられるなど、利用の幅が広がるマイナンバーカード。このカードで使える便利な機能に、コンビニエンスストアなどのマルチコピー機でカードを読み取るとその場で住民票の写しなどの公的な証明書が受け取れるサービスがあります。
でも実はこのサービス、名古屋市に住民票がある人は利用することができないんです。
理由は?そして今後は? 鍵を握るあの人にも直撃しました。
放送後の新たな動きも合わせてお伝えします! (名古屋市政担当・宮川友理子)
今回の疑問は、こちら!
マイナンバーカードで住民票の写し?
このサービス、皆さんはご存じですか?あまり、なじみがないという方も多いと思いますが、引っ越しなどの機会に利用したことがある方もいるのではないでしょうか。
土日や役所が閉じている時間でも利用できるうえ、デジタル化の流れの中で、役所の窓口で交付を受けるよりも安く、10円の手数料で受け取れるというところもあります。
全国の政令指定都市では、名古屋以外のすべてでこのサービスを利用できるほか、愛知県内でも人口10万人以上の市では、名古屋を除くすべての市で利用できます。
なぜ名古屋市民は利用できないのか・・・
なぜ、名古屋市民は、利用できないのでしょうか。
そのカギを握るのは、名古屋市の河村市長です。
河村市長は当初から、マイナンバーカードの制度自体に反対してきました。
去年11月にも、総務省を訪れ、マイナンバーカードの廃止などを要望しました。
市議会でも、議員の厳しい追及に対して持論を展開しました。
マイナンバー制度は、プライバシーの侵害や情報漏えいにつながるリスクが高まる。統一の番号ですべて管理するのではなく、限定番号でやるべきだ
さらに、河村市長は、マイナンバーカードが時代遅れで、デジタル化を進めるべきだとも主張しています。
名古屋市はどう考えてるの?
通常、自治体では首長の意見に従って政策を立案していくものですが、この件に関して名古屋市は、河村市長と真逆の主張をしています。
コンビニ交付のサービスが利用できないのは市民サービスの低下だ
実際に、担当の部局は平成26年度から毎年、このサービスを利用できるようにするための予算を提案していますが、河村市長に却下されて、費用が計上されずにきているのです。
こうした状態に、市民からも今年度だけで6000件を超える苦情が寄せられています。
今後は?
ここで新たな動きが!
デジタル庁が、1月から、マイナンバーカードではなく、一部のスマートフォンを機械にかざせば、コンビニで証明書を発行できるようにしました。
カードの持ち歩きを「時代遅れ」としていた河村市長。自分の要望が受け入れられたと満足顔です。
でも、このサービスも、スマートフォンでマイナンバーカードの情報を事前に読み取る必要があるほか、もとのカードを使ったサービスを利用できる自治体のみを対象としたものなので、名古屋市民はどちらにしろ使えません。
直撃してみた
市民には不便でも我慢してほしいということか。
不便はないといってる。結果として、名古屋の主張が通ってきて、マイナンバーカードは不要だということになった。それはすごいことで、文句ばかり言っては話にならんけど、巨大な一歩だ
市は、来年度の当初予算案に、このサービスに関連した「調査費」として500万円を提案していて、市長の査定を受ける予定です。
放送後、市長が転換
・・・と、ここまでがことし1月11日に放送した内容でした。
これを受けて、河村市長は11日後の22日、これまでの方針を改め、今後サービス導入を目指す考えを明らかにしたのです。
河村市長(記者団に対して)
デジタル庁が打ち出した、スマートフォンで交付を受けられるサービスは、「スマホで住民票を取得できる環境整備を目指す」という自分の公約につながるものなので、名古屋市でも、市民が利用できるよう、サービスの導入を決めた。
まだ一部のスマートフォンにしか対応しておらず、カードそのものが不要になったわけではないので、希望がかなったわけではないが、一度に全部を求めるのは総理大臣じゃないからしょうがない。マイナンバカード廃止に向けての道を開いたので、今後も要望など続け、一歩ずつ進めていきたい。
名古屋市当局の関係者も、突然の転換に驚いていたものの、最短でも2年後になる導入に向けて当初予算案に関連する予算を希望どおり計上し、本格的な準備を始めることにしました。
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