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名古屋名物きしめんの謎 名前の由来は?なぜ平べったい?

みなさんの『なぜ?』をNHK名古屋が調べます!「マチコエ」
  • 2023年10月25日

今回、マチコエ調査班に寄せられたのは
「名古屋名物きしめん。名前の由来は?どうして平べったいの?」という疑問。
この疑問にこたえるべく、きしめんの由来の謎を探りました。
(NHK名古屋 ディレクター  門田 遥)

「きしめん」名前の由来は?

きしめんの名前の由来は?どうして平べったいの?町の人は知っているか聞いてみました。

名古屋在住

わからないです全然。考えたこともない。岸?岸さんが作った麺?

瀬戸在住

切れ端で平べったい部分みたいな、で、略してきしめんみたいな。

地元の人でも、由来はよくわからないというきしめん。
まずは名前からリサーチします!

訪ねたのは昭和2年創業、老舗のきしめん屋さんです。店主の中山義規さんは、きしめんの歴史について調べています。

愛知県麺類食堂生活衛生同業組合常務理事  中山義規さん

中山義規さん
(きしめんの名前の由来は)諸説ありまして、どれも定かではないんですけども、3つ大きな説が言われています。

1つは中国から伝わった麺がチーズーメン、漢字で書くと「碁子麺」と書きますね、「碁子麺(きしめん)」説。
それともう1つは紀州(きしゅう)めん、作っていた人の地域の名前で「紀州めん」。
それからもうひとつはキジの肉を入れたということで「雉子(きじ)めん」。

この3つが言われています。

きしめんの名前の由来 3つの説

しかし、「紀州めん」と「雉子めん」は、後世に逸話として伝わってきただけ。
3つの説の中で文献をさかのぼれるのは、中国から伝わったという「碁子麺」だけだそうです。

公家や武家の行事について記した江戸時代の「貞丈雑記(ていじょうざっき)」
「碁子麺」が、「大きさ碁石のごとし」と紹介されています。

出典:国立国会図書館ウェブサイト(https://dl.ndl.go.jp/pid/2583445/1/22)を加工して作成

きしめんのルーツ?「碁子麺」を再現!

門田ディレクター

もしよければ「碁子麺」を作っていただくことって可能でしょうか?

中山さん

頑張ります!

中山さんに「碁子麺」を再現していただきました。

生地を薄くのばす

まずは、生地を薄くのばしていきます。そして、登場したのはなんと竹筒

竹筒を持つ中山さん
竹筒で生地をくりぬく

竹筒を使って生地をくりぬくと…碁石の形になりました。

碁石の形に!

これをゆでたら…

碁子麺(きしめん)の完成です。

碁子麺(きしめん) きな粉をかけて食べる

こちらが「碁子麺」。見た目は今のきしめんと全く違い、きな粉をかけて食べるものなのです。

試食させていただくと...

お餅みたいな食感で、きな粉と塩味が前面に出てきます。形も違うので、なかなか今のきしめんと一緒とは考えづらいですね…

今回の取材では、これ以上名前の由来について、手がかりは見つかりませんでした。

きしめんという食事そのものがやっぱり庶民の中で生まれてきたので、記録に残しておくような食べ物じゃなかったんだろうかなっていうふうに思います。

きしめんはなぜ平べったい?形の由来は?

では、きしめんが平べったい形になったのは、いつからなんでしょうか。

名古屋で活動する歴史ライター・水野誠志朗さんが、ある古い文献の存在を教えてくれました。

歴史ライター 水野誠志朗さん
水野さん

1830年代から書かれた「守貞謾稿(もりさだまんこう)」に、きしめんが登場してきました。

「守貞謾稿(もりさだまんこう)」は、江戸時代後期、庶民の生活について書かれた本です。そこにはなんと、「平打のうどん」の文字が。

 

出典:国立国会図書館ウェブサイト(https://dl.ndl.go.jp/pid/2592394/1/38)を加工して作成

さらに…

刈谷の方にあったいわゆる平めん。芋川うどんというものが名古屋にてはきしめんと言うと、書いてありますね。

出典:国立国会図書館ウェブサイト(https://dl.ndl.go.jp/pid/2592394/1/38)を加工して作成

「芋川うどん」は現在の刈谷市の名物でした。その「芋川うどん」が現在のきしめんのルーツかもしれないといいます。

「芋川うどん」を探しに刈谷市へ

その「芋川うどん」を探しに早速、刈谷市へ。

店主 都築晃さん

今も芋川うどんをメニューとして提供している、店主の都築晃さんです。

芋川うどんの麺

あ!平べったくて、きしめんにそっくり!!

都築さん

江戸時代の書物には、「平打ちの麺」「いいあんばい」「東海道随一」とうたわれた。あとは何を見ても載っていない。

左:芋川うどん   右:きしめん

都築さんは、当時は今のような製粉技術がなかったと推測し、石臼でひいたような荒い小麦粉でめんを作っています。その分、今のきしめんより茶色がかっているのが特徴です。

きしめんより茶色がかっている芋川うどん
それではいただきます

のどごしはつるっとしているんですけれども、小麦の香りとあと、ざらっとした食感がまたきしめんとは違ってとってもおいしいです

都築さんは、この芋川うどんがきしめんのルーツになった可能性があると考えています。

都築さん
年代的に見てもそうじゃないのかなと思うし、きしめんっていうものにつながったというのは大いにありえるのかなとは思います。

調査まとめ~きしめんの由来は諸説あり・平べったい形は芋川うどんがルーツの可能性

今回の調査結果をまとめました。

・きしめんの名前の由来は諸説があり、どれが正しいかはわかっていない
・刈谷市で作られていた「芋川うどん」がきしめんの平べったい形のルーツだった可能性がある
ということでした。

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