関ヶ原「天下分け目」は「線路分け目」 その1・カギは↓‖
- 2023年11月16日
大河ドラマ「どうする家康」、ついに 関ヶ原の戦い が終わりましたね。
「天下分け目」とも称される戦いが繰り広げられたまさにその場所にあるのがJR東海道本線・関ヶ原駅です。
実は、この「天下分け目」の舞台は、東海道本線でも名高い(?)「線路分け目」の場でもあるのです!
そして、合戦を戦う軍勢さながらに、複雑な動きをする列車たち・・・。
今回は「線路分け目」の関ヶ原を、3回に分けてご紹介します!
姿を隠す「しらさぎ」
東海道本線・関ヶ原駅。
お隣の柏原駅は滋賀県、つまり近畿地方。
ここは東海地方の西の端、
列車の本数も減り、日中に停車するのは30分に1本の各駅停車のみです。
停車はしませんが特急列車も走っています。
日中に多く姿を見せるのが、名古屋と金沢を結ぶ「しらさぎ」
上り下りともに2時間に1本程度、関ヶ原駅を通過していきます。
古戦場を横目に関ヶ原駅を通過した「上り」の「しらさぎ」は、そのまま古戦場を東へと突き抜け、こう配を下りながら垂井駅へ。
相川を渡り、大垣をめざします。
ところが。
「下り」の「しらさぎ」は、ちょっと違った動きをします。
垂井駅に姿を見せません。
姿を見せず、突然関ヶ原駅に姿を現すのです。
いったい、どこへ?
シンタルイ
そのカギは、関ヶ原よりも垂井よりもさらに東にありました。
大垣の近く、東海道本線の支線・美濃赤坂駅へ向かう線路が分岐する、南荒尾付近です。
線路がいくつか分岐して、立体交差になっています。
まず西から、「上り」の「しらさぎ」がやってきました。
写真の左側が関ヶ原、右に向かって走る上り・名古屋行「しらさぎ」です。
続いて東から、米原駅へ向かう各駅停車がやってきました。
奥にある築堤は、先ほど上り「しらさぎ」の通った上り線。
一番手前の線路を通過していく下り・普通列車。
いよいよ「下り」の「しらさぎ」がやってきます。。。
来た!
おや?
先ほどの普通とは、違う方向へ!
しかも、高架をくぐって消えてしまいました。
どこへ?
上り線から離れた「下り」の「しらさぎ」は、
垂井駅のある町の中心部から離れた山際を徐々に高度を上げていきます。
実はここ、急な上りこう配を迂回するために下り線用に設けられた「別の線路」。
あ、上りと下りが混在していますが。。。
上り列車は、こう配を下っていき、下り列車は、こう配を上っていく、となっています。
線路が平坦になったところに、こんな看板が立てられていました。
新垂井駅
シンタルイ。
かつてここには、新垂井駅がありました。
説明によると
東海道本線の西の難所・関ヶ原越えは急こう配であり、大垣駅~関ヶ原駅間は20‰(パーミル)こう配であった。このため蒸気機関車は補助機を連結せざるを得ず、これを解消する為に10‰こう配の新ルートを建設し下り本線として運用し、下り専用駅として新垂井駅が設置された。
「下り」専用の「上る」線路として、
こう配を抑えて関ヶ原へ向かう 通称「新垂井線」。
新垂井駅は他には見られない「下り線専用駅」というレアさ!
現在、駅は廃止されましたが、線路はいまも現役。
特急列車や、貨物列車はいまもここを通過します。
いまも残る「線路分け目」関ヶ原
垂井町内を歩いていると、こんなタイルを見つけました。
描かれた地図にも、東海道本線が2つ。
垂井駅とかつての新垂井駅は直線距離で3キロ、目視するには難しいほど離れたところ。
当時は、「上り」列車は垂井駅から、「下り」列車は新垂井駅から出発・到着していました。
利用される皆さんは、行先に応じて使い分けたり、
朝通勤するのと夜帰宅するのが違う駅、、、という状況。
これは不便だったようで、垂井駅を通る「下り」列車を別に設定するなどダイヤも工夫されました。
新垂井駅が廃止されたいま「下り」普通列車はすべて垂井駅に発着。
関ヶ原に向けて20‰を上っていくという状況は昔と変わらないのですが、
蒸気機関車にとっては難所だった「関ヶ原越え」も、現在の電車では上れてしまうのです。
ただ、垂井経由は最高速度が抑えられていることもあり、いまも特急は「新垂井線」ルート経由。
その結果、「下り」の「しらさぎ」は、一度姿を消して山際の単線をひっそりと行き、関ヶ原駅の直前に姿を見せるのです。
垂井経由と新垂井経由の線路は、関ヶ原駅構内の東の端で分岐、合流します。
まさに、ここがふたつの線路の分け目なのです。
読み解く暗号? ‖とレ
「垂井を経由する」のか、「新垂井線を経由(⇒垂井駅を経由しない)」のかは時刻表からも読み解けます。
上り。
「しらさぎ」の垂井駅の記号は・・・「レ」
下り。
「しらさぎ」の垂井駅の記号は・・・「‖」
「レ」「‖」のふたつの記号。
時刻表にはそれぞれ、このように説明されています。
レ・・・通過
‖・・・他線区経由
実は、時刻表にはここまで正確に詳細に記されているのです!
「線路分け目」の関ヶ原。
次回は「背反?「逆走」する列車」についてご紹介します。