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別井アナの 「伊賀越え」 難所「加太越え」は列車にも難所!

まるっと鉄旅番外編 【後編】
  • 2023年10月16日

「どうする家康」お楽しみいただいていますか?
家康の人生三大危機のひとつ「伊賀越え」
「三方ヶ原からの敗走」は、静岡局勤務の際に番組で実際に歩いたことがある私。
ならば「伊賀越え」も、自らの脚で確かめてみようと思い立ったのです。
ただし、鉄道で。

【前編】では、近江国・小川城までを、鉄道のないところも大まわりしながら、できるだけ家康一行のルートに沿うように進みました。

【後編】はいよいよ「伊賀越え」のクライマックスです。

改めて。
家康一行は、信長横死の知らせを受け、「枚方」から「伊賀越え」をめざします。
大阪府枚方市出身の私、途中「尊延寺」を経由したとのことで、その最寄りのJR学研都市線津田」駅より、家康一行のルートにできるだけ沿うように(間を徒歩でつないだりしながら)進んだのでした。

路線図と重ねても、家康一行はとにかくショートカット
とにかく速いルートで移動したのがわかります
 

さあ、小川城を出て。
鉄道では先ほどのルートを「柘植」駅まで戻ることになるのですが、
改めて草津線には、なかなか味わい深い駅名が続きます。
「伊賀」とならび忍者で知られる「甲賀」駅、甲賀武士の崇敬を受ける油日神社の「油日」駅、
家康一行が通過した頃から、この一帯は一筋縄ではいかなかったのではないかと想像します。
伊賀を抜けるのも大変ですが、敵か味方か、多くの目を気にしての移動は精神的にも厳しかったはずです。

「伊賀越え」のルートについては、複数の説があり、現在も研究が続いています。
小川城から「柘植」へ向かう場合、鉄道ルートでは、【前編】のルートと同じく「信楽」駅に戻るか、山道を抜けて「油日」駅に出るか、となりそうです。

油日駅の駅舎は、まるでかぶと?のようなデザイン

草津線に乗車し、再び「柘植」駅に到着。ここで関西本線に乗りかえ。
ここからがいよいよ「伊賀越え」のクライマックスです。

こんなところにまで忍者が!気をつけろ、家康!

逃げるように、列車に乗り込みます。(本数が少ない分、接続は取られています)

ここからの区間、「柘植」駅~「加太(かぶと)」駅は“加太越え”(かぶとごえ)と呼ばれる峠越え。
家康一行の行く手を阻むのは、敵兵だけではなく、険しい山越えです。
関西本線では随一の難所として知られていて、「柘植」駅を出ると、列車は加太トンネルまで上ります。

加太トンネル 現役です

明治23年に開通したこの区間。トンネルの入り口にはしっかり「太加」の文字も。
そして、入口手前の青い看板が示す通り、このあとは25パーミルの連続勾配を下っていきます。
蒸気機関車の時代には、この区間の勾配を上る貨物列車には補機(後押しする機関車)が必要で、途中には、スイッチバック式の中在家信号所が設けられていました。
貨物列車も長大編成も走らなくなり、いまではホームの跡がわずかに残るのみです。

中在家信号所 跡

小型の気動車はこの峠越えをうなりを上げながら進んでいきます。
家康もここを抜けた先で、疲労困憊のため落馬した、という説が残っているほど。
昔も今も「加太越え」は難所なんですね。
家康一行は、早々にこの難所を抜けたいところだとは思いますが、
鉄道ファンの私は、「加太」駅で途中下車します。

というのも、昭和11年製の木造駅舎が残り、しかも美しく手入れされています。

地元の皆さんがJRから駅舎を譲り受け、無料休憩所「加太サロン」として運営されているんです。

かつての券売所の雰囲気がそのまま残る室内には、写真や資料が充実!

現在も残る橋脚やトンネルなどを「加太越え鉄道遺産群」として集約し、これらをまわるマップを用意。
短いものから長い時間をかけて巡るものまであります。列車はおおよそ1時間に1本なので、乗り継ぎ時間に合わせて、コースも選べるという充実ぶりです。
 

森下勇司さんと

この日、私にいろいろ教えてくださったボランティアの森下勇司さん。
地域の皆さんが交代で、駅を訪れる皆さんに心地よく過ごしてもらえるようにと「サロン」を運営されているそうです。
鉄道ファンはもちろんですが、旅の途中に、ちょっと途中下車して過ごすのもいい、そんな駅です。
実際、私もお話が弾みまして、、、なんとコーヒーまでいただきながら、周辺の見どころなどをご紹介いただきました。

帰りには、わざわざホームまで出て見送っていただき(また、必ず来ます!)
「伊賀越え」をたどる旅を再開。

加太から関へ向かう車窓より

川沿いを進みながら、空が広くなってくると、そこはもう伊勢国
「伊賀」を抜けた瞬間です。
次の「」駅は東海道沿い。家康一行が立ち寄ったとされる瑞光寺は、駅からすぐ。
列車は、JR西日本JR東海の境界「亀山」駅へと滑り込みます。
 

気動車から電車へ。側線には最新型315系もスタンバイしています。
家康一行は白子浜へ出て、海を渡り、知多半島を通って、岡崎へと向かったようですが、
海路を渡る鉄道はありませんので、、、
関西本線を一路、名古屋へ向かうことにします。
 

ここまでくれば、岡崎はもうすぐです!

通過するだけなら1日でなんとかなるかもしれませんが、途中下車したり、大まわりしたりしましたので2日かけての「鉄道で伊賀越え
振り返ってみると、新幹線でも新快速が走る在来線でもない、久しぶりの「加太越え」での「名阪」移動になりました。
ホームで食べた「きしめん」のおいしかったこと! 列車に揺られていただけの私でそうなのですから、家康一行もきっとふるさとの味に「無事に逃げきった」と確信したことでしょう。

どうする家康」も佳境を迎えます。
あの「天下分け目」の合戦の舞台は、鉄道にとっても「線路分け目」の場だったり。。。
このお話はまたの機会に!

別井アナの「伊賀越え」(鉄路で) 前編はこちら

  • 別井敬之

    NHK大津 アナウンサー

    別井敬之

    「NHKラジオ鉄道大博覧会」「東海道新幹線開業50周年・まるごと新幹線」「BS鉄道ファン倶楽部」「夢のSL記念館」「SL復活C571よ永遠に」など鉄道番組多数。時刻表検定取得。愛読書は時刻表(中型全国版)の"乗り鉄"。東海地方のJRは乗り尽くし完了。 2023年度からは大津局勤務。「おうみ発630」キャスター。

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