日立・東海村暴走事件 ー相次ぐ車による暴走事故の対策は
藤田梨佳子(記者)
2023年12月22日 (金)
今月(12月)6日に日立市と東海村であった車が突っ込む事件と同じような事件はこれまでにも国内外で起きています。新型コロナの感染拡大による制限がなくなり、屋外のイベントが以前よりも盛んに行われる中、いつどこで被害にあうのかわからない、車による暴走事件を防ぐ対策について、テロ対策に詳しい専門家、公共政策調査会研究センターの板橋功センター長に話を聞きました。
相次ぐ暴走事件
板橋センター長によりますと、車の暴走が関係する犯罪は、これまでにも国内外で相次いで発生しています。ことし7月には宮城県で小学校に軽トラックが侵入し児童がはねられました。
15年前に東京・秋葉原であった7人が死亡、10人が重軽傷を負った通り魔事件では、トラックが使われました。海外でもフランスやイギリスなどで発生し大きな脅威となっていますが、秋葉原の事件から増えているといいます。
秋葉原の事件は、歩行者天国で人が集まっているところに突撃した。それ以降、車で突っ込んで人を死傷する犯罪が国内外で増えている。車は、非常に身近にあるもので、場合によっては凶器になる。多くの人が簡単に扱えるものなので、それを利用して人を殺傷したり危害を加えるということを十分に考えておかないといけない。
車を凶器として使う事件は、秋葉原の事件以降、世界で大きく取り上げられる中で増えていったとみられています。こうした事件がどこで起きてもおかしくはないことを想定した上で、備えることが重要だと指摘しています。
特にローンウルフといって1人で考えて、何かに反感を持って1人で犯罪を行うような人がいたら、イベントは1つのターゲットになる。人が集まっているところを攻撃される可能性は、常に考えておかないといけない時代になってきている。
板橋センター長は、こうした犯罪を防ぐ対策としてポールのような形をした車止めなどを公共スペースの周囲に設置することが有効だとしています。4年前に事件があった東京・原宿では、実証実験でトラックの衝突にも耐えられる性能が確認されている車止めのポールが設置されています。また、最近では、中央の省庁の周囲には石造りの頑丈な大きなプランターが設置され、暴走の対策になっているということです。こうした対策は設置費用がかかりますが、コストが比較的かからない対策として車を使って暴走車両を防御する方法があるといいます。
アメリカでは、トラックとか市が持っている清掃車とかトラックを並べて侵入を防いでいる例もある。自治体が持っている車両で進入を防ぐのも1つの手段です。(日本でも)大きなお祭りや 花火大会でやっていますが、警察の車両を置くとかやっていますので、これを警察に全部頼るのは大変ですので、市の行事なら市の車両など並べておけば侵入しにくくなります。
事件があった日立市と東海村では車止めを設置するなどの対策を検討しています。日立市では、広場の周りにベンチを設置し、イベントの際は、車をおいて侵入を防ぐ対策もとることにしています。暴走への対策は東京オリンピックなどを機に都市部を中心に進んだということですが、板橋センター長はこれからの時代、地方でもこうした対策が不可欠だとしています。最近は、アクセルとブレーキの踏み間違えによる暴走もあるため車の進入を防ぐ対策の重要性は高まっているということです。