ロバート馬場さんの食品ロス削減レシピとは
「食品ロス削減の日(10月30日)」に、石川県金沢市で「第7回食品ロス削減全国大会」が開催されました。食べられるのに捨てられてしまう食品を減らすための取り組みを推進するために毎年開催されています。
大会には、お笑いトリオ「ロバート」のメンバーで料理家としても活動している馬場裕之さんが招かれました。馬場さんは、2021年より消費者庁食品ロス削減推進アンバサダーにも就任しています。今回は家庭で簡単に取り組める食品ロス削減の知識やレシピを紹介しました。
食品ロスは、国内で年間およそ523万トン発生(2021年度の推計)その約半分が一般家庭からでていると言われています。「食べ物のムダをなくすためにはどうすればいいのか」私たちができることを考えます。視聴者のみなさんからいただいた食品をロスしないためのご意見もご紹介します。
※2023年11月1日公開の記事に最新情報を加筆し更新しました。
(「地球のミライ」取材班)
「なんでも冷凍です」手間をかけることで食材が長持ちする
2023年で7回目となる「食品ロス削減全国大会」。主催者によると、今回は全国から約600人が参加しました。
パネル展示では、商品として出荷されない野菜を活用する大学の取り組みや、各地の企業や団体で進められている食品ロスを減らすための対策について紹介されていました。
そして、大会の終盤に開催されたのが、お笑いトリオのロバート馬場さんによるトークショーと食品ロス削減にいかせる料理実演です。
食品ロスをなくすために、馬場さんがふだんから意識しているというのが食材の「冷凍」です。
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馬場さん
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貧乏性なので、極力買った食べ物は食べきりたい、使い切りたいと思っていて、やりくりしています。
たとえば、きのこ類は冷凍したらうまみが出やすいので、値段が安い時に購入して冷凍しておく。冷凍保存をしても食感は変わらないため、そのままみそ汁に入れています。
ほかに、バナナも腐る前に皮をむいてラップに包んで冷凍し、アイスにして食べたり、豆腐も凍らせて「しみ豆腐」のようにしています。
ついつい腐らせがちな食材ってありますよね。
馬場さんが会場の人に「どんな食材を捨てていますか?」と問いかけると・・・「ねぎ!」という回答がでました。
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馬場さん
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ねぎも切って冷凍!(笑)
僕は小ねぎとかを買って結局使いきれないので、根を土に植えてプランターで生やして、それを切って使っています。
根っこの下だけを入れたら出てくるんで、3回くらい食べられるんですよ。途中から黒いなぞの虫がつくのでそれまでは使えます(笑)
食品ロス削減には、ちょっとした「ひと手間」が必要だといいます。めんどくさがらずに冷凍するなど保存方法を見直すことも大切です。
食品ロス削減クイズ!
会場で出されたのは、食品ロスについてのクイズ。みなさんも一緒に考えてみましょう。
Q「宴会での食べ残しを減らすために近年〇〇運動を意識する人が増えています。〇〇とは何でしょうか?」
A:3010 B:食品ロス
答えは「A」の、3010運動。
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馬場さん
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宴会する時に最初の30分は食べる。そこからあいさつをする。歓談する。 最後の10分も食べる。持ち帰ってもいいですし。
つまり、宴会の最初の30分、それから最後の10分はみんなでごはんを食べる時間を設けましょう、ということです。
年末年始、宴会が多くなるこれからの時期、覚えておきたいキーワードです。宴会が始まる時に呼びかけて、参加者全員が少し意識することで、食べ残しを減らしたいですね。
Q「消費期限」と「賞味期限」について、正しい意味はどちらでしょう?
A消費期限は「安全に食べられる期限」、賞味期限は「おいしさなどの品質が保たれる期限」
B消費期限は「おいしさなどの品質が保たれる期限」、賞味期限は「安全に食べられる期限」
答えは「A」です。消費期限は、「安全に食べられる期限」、賞味期限は「おいしさなどの品質が保たれる期限」
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馬場さん
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たとえば、卵。
生食が賞味期限ということで、卵は傷ついていなければしばらくは食べられるんです。消費期限は書いてないんですよね。ボイルしてしまったら、短くなるんですけど、生のまま冷蔵庫にいれておけば、もちますね。
殻とかも、カルシウムなどの栄養があるので、植物などのプランターに入れるとか。僕の実家では、殻は全部畑にまいたりとかしていました。
食品ロスをなくすために私たちが気をつけることは?
①「買い物前に食材をチェック」
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馬場さん
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(買い物へ行った時)たぶん家にあるはずだけど、ないような気がして買っちゃう物ってどうしてもありますよね。卵とかもあったかなとか・・・ちゃんとチェックして買った方がいいと思う。あとは、何をつくるか決めてから材料を確認したほうが買い残しも少なくなります。
②「必要な分だけ買う」
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馬場さん
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いま豆腐なども小分けに売っていて、ひとり用で小さい物もあるので、安いからといって一丁の物を買って保存するのではなく、小分けの物を利用しましょう。意外と賞味期限が長いので、何か予定が入って食べられないということもなくなります。
③期限表示を知る
最近よく馬場さんのもとに寄せられるのは「スパイス」の有効活用についての声です。
カレーに使うローリエなど、買ったはいいけれど、カレーの時など限定的にしか使わない物はどうしたらいいのかという質問があったそうです。
はたして、馬場流の解決方法とは・・・?
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馬場さん
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煮出して「ハーブティー」にしてみる。チャイに入れる「クローブ」とか、煮出すとハーブティーとして飲めるんですよ。
だからお茶を入れる時にちょっと足してみて、このお茶とこのスパイスは合うなっていうのを自分で独自で配合してしまえばハーブティーが作れるんです。
ほかにも、シナモンスティックを芋焼酎に入れておくとおいしい。砂糖の甘さではなくシナモンの甘さになる。僕は何でも凍らせるのと、なんでも漬けるのが好きなんですよ(笑)
加賀れんこんでお手軽「ばばっとレシピ」
馬場さんが披露したのは、石川県の特産「加賀れんこん」を使った2品です。
ポイントは、「ごみになりがちな皮をむかずにそのまま使う」ところです。馬場さんのレシピはすべてが目分量!ご家庭で作る場合は調整してみてください。
(※10月30日に開催された第7回食品ロス削減全国大会in金沢でロバート馬場さんが紹介したレシピです)
○加賀れんこんピザ
【材料】
・加賀れんこん(れんこんでも可)
・たまねぎ
・ピーマン
・ピザソース(市販)
・ピザ用チーズ
【手順】
すべてフライパンの中に入れる
① れんこんはよく洗い、泥を落とす。フライパンにスライサーで薄く切ったれんこんを入れる。
<馬場さんのワンポイント>スライサーを使うのが怖いという方は、端に食材をそろえると滑らずに切れるので安定します
② たまねぎは皮をむく。①の上にスライサーで切ったたまねぎを入れる。
<馬場さんのワンポイント>たまねぎの根っこを残したままスライスするとバラバラにならずに切れます。
③ ②の上にスライサーで切ったピーマンを入れる(ピーマンは種も食べられるのでそのまま使用してもよい)
④ ③の上にピザソースをかける
⑤ ④の上にピザ用チーズをかける
⑥ ⑤のフライパンをフタをして中火で焼く(目安は片面3分ほど)
<馬場さんのワンポイント>油をひかなくてもチーズから油が出るのでOK。チーズは接着剤代わりになります。れんこん自体もでんぷん同士でくっつきます。
⑦ 両面に焼き目がつくまで焼く
⑧ 完成
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馬場さん
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ソースをお好み焼き風にしてもいいですし、シンプルに塩こしょうでもおいしく食べられます。
○れんこんのきんぴら
【材料】
・加賀れんこん(れんこんでも可)
・酢
・しょうゆ
・ごま油
・一味とうがらし
・白ごま
【手順】
① 耐熱容器にスライサーでれんこんを薄くスライスする。
② 酢をかける
③ ふんわりとラップをかけ、電子レンジ(600W)で2分ほど加熱
④ しょうゆ、ごま油、一味とうがらし、白ごまをかけ、全体を混ぜ合わせる
⑤ 完成
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馬場さん
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こんなに簡単なのにおいしい!ということで僕もめちゃくちゃリピートして作っています。ゆでていないので、でんぷんなど栄養素が流れ出ることもありません。れんこんの食感を味わえる一品です。
視聴者の皆さんと食品ロスを考えてみた
「地球のミライ」で行った「食品ロス」に関するアンケートでは、多くの方から回答をいただきました。ありがとうございました。
食品ロスしないためにどんな対策をしているのか、皆さんからいただいた声を紹介していきます。
食品ロスしやすい物として多くの人が頭を悩ませていたのが「野菜」でした。
▶主にキュウリ、ネギ、ニンジン、大葉、ショウガ などが挙がりました。
また、頂き物のつくだ煮や、缶詰。
珍しくてつい買ってしまった物や、使おうと思って買った調味料を挙げている方もいました。
食品ロスさせないために「冷凍保存」
では、食品ロスしないようにふだんからどんなことを心がけているのでしょうか。自宅で行っているそれぞれの取り組みについて伺うと「冷凍で保存する」という声が最も多く聞かれました。
▶なるべく食べ切るが、余った物は冷蔵や冷凍をする。
(50代男性)
▶夕飯が残った時は「あす食べるだろう」と思わず、冷凍できる物は冷凍してしまう。
(40代女性)
▶個別に分けて冷凍する。
仕事が忙しい時は料理ができずに腐りがちなので、作れないなら冷凍庫にいれる。
(20代女性)
▶最低限の量しか作らない、冷凍保存する。
(50代女性)
▶ごはんを冷凍する。
(50代男性)
▶冷凍保存を活用。下処理は早めにする。
(50代女性)
買い物時に、食品ロスをしないために気をつけていることも伺いました。
すると、まとめ買いをせず、すぐに必要な物だけを計画的に買うことができれば、結果的に食品ロス対策につながることがわかりました。
▶買い物前に必要な物を確認している。
(20代女性)
▶見切り品を出来るだけ買わない、冷蔵庫の中身を頻繁に見て内容を確認する。
(20代女性)
▶まとめ買いをせず、なるべく必要な時に必要なだけ買うようにしている。
(50代女性)
▶まとめ買いをしない。 安さだけで買わない。
(40代女性)
▶足のはやい(消費期限が短い)物は、まとめ買いをしない。
(30代女性)
「誰かに教えたくなる食品ロス対策」についても、参考になる意見が続々と寄せられました。
▶野菜の芯やしいたけの軸、ダメになりそうな食材は、全部まとめてスープにするとおいしい。
(30代女性)
▶野菜などは見切り品から買うようにしています。
お菓子やコーヒーなども食品ロス解消サイトから買うようにしています。
(30代女性)
「ダメになりそうな食材をスープにする」というご意見は、まさに「私たちが食品ロス削減に取り組む理由」でお伝えした、捨てられてしまう野菜をスープにして提供しているという大学生の活動につながるものだと思いました。
また、「食品ロス解消サイト」についてもご意見をいただきましたが、こうしたサイトやアプリは広がりをみせているようです。NHKのニュースでもお伝えしましたが、クリスマスの日に売れ残った食品を、定価よりも1割から5割ほど安く販売したところ、売れ行きは好調だったということです。「https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231203/k10014276491000.html
消費者がただ安く買えるというだけでなく、「食品ロスの削減に一役買っている」という気持ちになるからかもしれません。
たくさんのご意見をいただきまして、ありがとうございました。
食品ロスをしない、あなただけの工夫や取り組み、知っていることなどがあれば、
ぜひコメントで教えてください。