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南海トラフ巨大地震に備える

“県外支援も実施する”訓練に密着!
  • 2023年11月16日

30年以内に70~80%の確率で起きるとされている南海トラフ巨大地震では、
国の想定で最悪の場合、全国で32万3000人が死亡するとされています。
熊本県は県内の被害に対応しつつ、九州の中央に位置する「広域防災拠点」として、
宮崎や大分の支援も行うことが期待されています。
10月21日(土) 南海トラフ地震を想定した訓練としては全国で初めて行われた
県外支援も実施する訓練に密着しました。

熊本県の災害対応の全体指揮を担う オペレーションセンター。
南海トラフ巨大地震を想定した 前例のない訓練に向けて、県の担当者が議論していました。

南海トラフ巨大地震が起きた場合、熊本県は九州の広域防災拠点として、県外支援を行う構想を打ち出しています。
一方、被害の大きな宮崎県と大分県に自衛隊などが集中するため、熊本県には応援が来ません。
自力で県内の被害に対応しつつ、同時に県外支援も行う。
このバランスをどのようにとるかが焦点です。

危機管理防災課・塚本和子主幹

せっかくの機会なので、できるだけ気づきを多く得られるようにして訓練に臨めたらと思っています。

訓練当日


地震発生、大きな揺れ!

熊本県には震度6弱の地震が発生。揺れがおさまるとすぐに災害対応に入ります。

職員

そちら 特に被害など ございませんでしょうか?

まずは県内の状況確認を進めます。
どんな被害が出ているのか、現場の職員は知らされていません。

県全域で行われた訓練には、国や自衛隊、民間企業など76機関、およそ1800人が参加。
各機関から県外の情報も入り始めました。

職員

予想される津波の高さは宮崎県が10メートルを超える予想です。
大分県の豊後水道沿岸も10メートルを超える予想です。

発災から1時間後、知事が到着しました。

熊本県知事

応援本部を設置し、県内対応とあわせ
大分県と宮崎県の被害情報の収集を実施してください。

知事の指示を受け、県内の被害を調べていた職員の一部が、県外支援の応援本部に移ります。
支援を進めるためには、県内だけでなく、同時進行で大分県と宮崎県の情報も集めなければいけません。ひっ迫する両県に連絡がとれない中、状況を把握する手段は限られていました。

見えてきた課題

支援の準備を進めようにも、何が起きているのか分からない。直面したのは情報収集の難しさでした。

職員

避難所は開設できてるんですかね?そこもまだわからない?
2時間だと多分難しい。

職員

(宮崎や大分の)県庁まで行って情報をとらないと無理だと思います。

職員

県庁がちょうど沿岸部にありますので、県庁内も混乱している状況ではないかと。

状況を確認するため、職員を直接、派遣することを決めました。

職員

応援ニーズの把握がやはり必要だと思います。
このため両県のLO(連絡員)派遣について人員確保、それから移動手段について
至急、手配・調整を行っていただきたいと思います。

危機管理防災課・塚本和子主幹

情報を取りに行くのが難しい。ただ 私たちができることは避難所とか物資とか、
まず生活の中で大事になってきますので、そこを支えないといけない。

そして2日が経過。宮崎県と大分県をリモートでつなぎ、どんな支援を求めているか、ようやく聞き取ることができました。

宮崎県・職員

津波被害で発生した避難者を受け入れておりますが、想定よりも避難者数が多く、
熊本県におかれましては、避難施設、移送手段の確保をお願いしたいです。

宮崎・大分からの避難者の受け入れに加え、応援職員の派遣を決めました。
訓練は8時間に及びました。実際に巨大地震が起きたとき、どのように県外支援を進めるか。
課題が見えました。

危機管理防災課・塚本和子主幹

まずは県内対応が優先だと思っています。
県内対応ができてからこその県外対応になりますので、できるだけ効率的に災害対応ができるように、人員体制も今後考えていかないといけないと思いました。

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