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こころフォトに寄せて

瀬戸内寂聴さん

作家。1922年、徳島生まれ。73年に得度。2006年、文化勲章受章。執筆活動のかたわら、天台寺(岩手県二戸市)の名誉住職を務めています。
東日本大震災当時、病に伏せていましたが、東北の惨状に衝撃を受けるあまり、思わずベッドから立ち上がっていたと言います。被災地の各地で「青空説法」を行い、交流を続けています。

今回の震災では、多くの人が亡くなりました。 突然の津波で大切なご家族を亡くした方はさぞかし無念で、神も仏もないと思っていることでしょう。 仏教には「代受苦(だいじゅく)」という言葉があります。
人が受ける苦しみを他人が代わりに受けて苦しむという意味です。この「代受苦」は、誰もができることではなく、
選ばれた人だけができるたいへん尊いことです。だから、大切な人を亡くしたことを虚しいとは決して思わないでください。
自分が津波の犠牲になるかもしれなかったのに、大切な人が身代わりになってくれた、
そのように亡くなった人にずっと感謝して祈り続けなければいけない、それが亡くなった人のためにもなるし、
亡くなった人の死がいきてくることになります。亡くなった人のことを忘れないことが一番の供養になります。
お墓を作るのも残された者が死者を忘れないため。お参りに行くのはそこに家族がいると感じることで、忘れないためです。
生き残った人たちはちゃんと生きなければなりません。
死なないでしっかり生き、ご家族の冥福を祈るということが一番亡くなった人のためになります。
亡くなった人の魂は愛する人のそばに来ると言われています。
忘れないという思いを示し続ければ、亡くなった人の魂はきっとその思いを感じとってくれるはずです。
(平成25年5月5日・談)