統合を控えた高知県の高校で最後の卒業式

2023年03月17日

高知県内のほとんどの公立高校で3月1日に卒業式が行われるなか、統合を控えた高知西高校でも卒業式が行われました。「最後の卒業式」を迎えた卒業生の思いは。
（高知放送局記者澄田謙人）

新年度に統合へ

少子化や南海トラフ巨大地震対策などで高知西高校と高知南高校は、新年度から高知国際高校として統合されます。このため、高知西高校としては最後の卒業式になりました。

20年後の自分へ

卒業式を前に代表の生徒8人が20年後に開封することになっている3つのタイムカプセルを学校の敷地内に設置しました。
タイムカプセルには、生徒が未来の自分に向けたメッセージや、保護者や教員からのメッセージが入っています。

みんなの気持ちのこもった素晴らしいものが詰め込まれている。
20年後、みんなと一緒にこのカプセルが開けられたらいいと思う。

最後の1日

卒業生は最後の1年間過ごした教室を風船で飾り付けたり、お世話になった先生への色紙を作るなどして最後の1日を過ごしました。
バドミントン部の卒業生たちは教室で「最後の昼ご飯」を食べていました。

新型コロナの影響でなかなか充実した生活ができなかったんですけど、こうやって最後に集まって話せてとてもよかったです。

行事が新型コロナの影響でなくなったんですけど、その中でも毎日の学校生活が楽しかったです。

正直あっという間で、新型コロナが3年間もろにかぶってしまった学年で少し残念でした。もっといろんなことやりたかったなっていう思いはあるんですけど、西高最後の1年でいろんなことを経験させてもらって、絶対他の学校ではできない経験ができたのでよかったです。

マスク着用の卒業式

そして迎えた高知西高校としての「最後の卒業式」。
卒業生およそ270人のほか、在校生として高知国際高校の1・2年生や保護者など合わせて1400人が出席しました。
卒業生たちはマスクをつけたまま入場し、壇上に上がるとき以外はマスクをつけたまま式に参加していました。

高知県の教育委員会は、卒業式でマスクをしないことを基本とする方針を通知していますが、この学校では、大学入試を控えた生徒がいたことから、学校と生徒、それに保護者が話し合って式中のマスク着用を決めたと言います。

本当は感染拡大前のようにマスクなしでできればよかったですが、まだ受験を控えている生徒もたくさんいて、受験に向かって戦っている友人の人生のことを考えるとマスクを原則着用しての卒業式でよかったと思います。

卒業証書授与の際、卒業生たちは1人ずつ名前を呼ばれたあと、マスクをつけたまま大きな返事をし、マスクを外したクラスの代表が壇上に上がって卒業証書を受け取っていました。

高知西高校の最後の生徒会長となった森田さんは、卒業生代表として壇上でマスクをはずし、10分以上にわたって答辞を読み上げました。

新型コロナの影響で思い描いていた高校生活とは違いましたが、当たり前の日常がどれだけ貴重なのかを感じられる3年間でした。
母校の名前がなくなることは悲しいが、私たちは高知西高校の最後の生徒として、誇りを持って力強く生きていきます。

在校生や保護者が見守る中、卒業生たちは学びやを後にしていました。

高知国際高校へ

新年度から高知西高校という名前はなくなってしまいますが、最後の生徒会長は高知国際高校に期待を寄せています。

国際高校は新しい学校ですけど、高知西高校と高知南高校の統合によってできた学校なので、その2つの学校の伝統も大事にしてもらいつつ、やはり自分たちの色というか自分たちの特色を出してもらいたいと思っています。
僕たちの高知西高校という母校がなくなりますが、この学校、この場所に帰ってきたときには『やっぱり、ああ母校っていいな』って思えるようなそういう学校を作ってもらいたいです。