小腸がんの診断・検査方法

小腸がんを診断する手順は、まずは問診で症状や病歴などを詳しく聞きます。そのうえで、カプセル内視鏡による観察を行い、その結果、小腸がんが強く疑われる場合には、ダブルバルーン内視鏡による観察や組織の採取を行います。内視鏡検査の結果、神経内分泌腫瘍の一種であるNETの疑いが強い場合には、ソマトスタチン受容体シンチグラフィーなどの検査が行われます。
カプセル内視鏡を使った検査方法

カプセル内視鏡は、小型カメラが付いたカプセルをのみ込み、4時間から8時間かけて小腸を通過していく間の映像を記録します。カプセル内視鏡の検査は、がん専門病院や大学病院などで受けることができます。

上の画像はカプセル内視鏡で記録した小腸の写真です。左のほうの粘膜は正常ですが、正常な部分とは色が異なる右下の粘膜が小腸の腫瘍です。カプセル内視鏡の映像を見てこのような腫瘍がないか調べ、小腸がんを診断していきます。
ダブルバルーン内視鏡を使った検査方法


ダブルバルーン内視鏡は、2つのバルーンを膨らませる特殊な内視鏡を小腸に入れて病変を観察する方法で、カプセル内視鏡で病変が見つかった場合に行われます。腫瘍が胃に近い場合は口から入れ、大腸に近い場合は肛門から入れていきます。カプセル内視鏡と異なり、腫瘍の組織を採取することができ、それを詳しく調べてがんのタイプ・悪性度などを診断します。
ただし、小腸は全長6メートルほどあるため、小腸の真ん中あたりに腫瘍がある場合、ダブルバルーン内視鏡が届きません。その場合は、診断と治療を兼ねておなかを開く手術を行います。ダブルバルーン内視鏡の検査は、がん専門病院や大学病院などで受けることが可能です。
ソマトスタチン受容体シンチグラフィーの検査方法


神経内分泌腫瘍の一種であるNETの場合、腫瘍の細胞にソマトスタチンというホルモンの受容体が現れます。その検査が、ソマトスタチン受容体シンチグラフィーです。
まず患者さんにソマトスタチンに似た薬を注射します。するとその薬がNETに集まります。この薬には微量の放射性物質がついており、それをSPECTという方法で感知して画像に映し出します。上に示した右側の画像で、白く光っている箇所が実際に映し出されたNETで、その位置や大きさが詳しくわかります。この検査は、がん専門病院や大学病院などで受けることが可能です。