小腸がんの治療 抗がん剤や外科手術など、タイプ別に解説

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小腸がん腹痛吐き気大便がおかしい胃・腸・食道

小腸がんの治療 NETとNECの場合

NETの治療

NECの治療

NETと診断された場合、ほかの臓器への転移がなければ、おなかを開く外科手術が行われます。がんとその周囲のリンパ節を含めて切除します。腫瘍が小さく、内視鏡の届く範囲にある場合は、内視鏡治療が行われることもあります。

手術が行えない場合や、手術でがんが取りきれない場合は、薬による治療が中心となります。薬は、主にソマトスタチンアナログという注射薬が使われ、筋肉注射と皮下注射の2種類があります。この薬は、腫瘍に現れているソマトスタチン受容体と結合することでがんの増大を抑える効果が期待できます。ソマトスタチンアナログが効かない場合はのみ薬の分子標的薬などによる治療が行われます。

NECと診断された場合、病気の初期からがんがほかの臓器に転移している可能性が高いため、抗がん剤による治療が基本です。シスプラチンに、エトポシド、イリノテカンといった注射薬が併用されます。がんの広がりが小腸とその周囲のリンパ節のみに限られている場合は、手術と抗がん剤を組み合わせた治療が行われます。

小腸がんの治療 腺がんの場合

小腸がんの治療 腺がんの場合

腺がんと診断された場合、がんの深さや転移の有無などによって治療法が異なります。がんが比較的浅い部分にあり、小腸の入り口部分である十二指腸で内視鏡が届く範囲にある場合は、内視鏡による切除が行われることがあります。内視鏡が届かない範囲にがんがあったり、さらに深いところに入り込んでいる場合には、がんの周囲のリンパ節も含めて外科手術で切除します。がんがほかの臓器に転移している場合は、手術は行わず、抗がん剤による治療が中心となります。

小腸がんは、同じ消化管の胃がんや大腸がんに比べて、同じステージでも再発するリスクが高いといわれており、まだ再発を防ぐための治療法が確立されていないので、手術後には慎重な経過観察が行われます。現在、小腸の腺がんの再発を予防する抗がん剤による治療の臨床試験が世界各国の共同で始められるなど、治療法の開発に向けて研究が進んでいます。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年4月 号に掲載されています。

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    シリーズ よく知られていないがん「小腸がん」