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子どもの“生きる力”を育てる!保育・幼児教育

ひるまえ子育てプロジェクト#6
  • 2023年06月29日

子どもの“生きる力”を育てる!保育・幼児教育

森直美

フリーアナウンサーの森直美です。私もいつもお世話になっている保育園。
いま、保育園、幼稚園、認定こども園などでの保育・幼児教育の重要性が注目されています。園での取り組みや視点は、自宅での子育てのヒントになるものもたくさんあるんです。
今回は、保育・幼児教育がご専門で、広島大学大学院の教授・中坪史典さんにお話を伺いました。

中坪先生

実は、保育園、幼稚園、認定こども園などの就学前の教育が、 乳幼児期の子どもにとって、その後の人生に幸せをもたらす“ある力”を育てる場として重要視されているんです。その”ある力”とは・・・

「非認知能力」というのが、いま、保育・幼児教育の分野で注目されているキーワードで、 近年の研究から、乳幼児期に身に着けるべき能力として とても重要であることがわかっています。

簡単に言うと、例えばゴールに向かって興味を失わず努力し続ける“やりぬく力”だったり、 意欲忍耐力自制心協調性リーダーシップ社会性、感情をコントロールする粘り強さ創造性好奇心といった、 基本的な人格形成につながる能力のことです。


 
中坪先生

読み書き計算など、数値化できる能力を「認知能力」といい、 やり抜く力や、自制心、協調性など数値化できない能力を 「非認知能力」と言います。 この「非認知能力」こそ幼児期に育むべきなんです。

乳幼児期には、勉強よりも大切ということなんですね!

読み書きや計算など、結果が見えやすい点に つい目が行きがちです。

 しかし、特に乳幼児期には、木でいえば根っこのような、「人間力の土台」となる「非認知能力」を育むことが、小学校に入学して、 読み書きや計算などの勉強を伸ばし花を咲かせることにつながることが分かっています。「生きるための力」みたいなものなんです。

“非認知能力”の大切さを裏付けたアメリカの研究とは?

「非認知能力」の大切さを裏付けた有名な研究があります。

それが『ペリー就学前教育プロジェクト』です。 どんな研究かというと、米国ミシガン州において、1962年当時3歳だった子どもたちを対象に行った実験で、質の高い保育を3年間受けたグループと、家庭で育てたグループに分け、その後、彼・彼女たちがどのような人生を送っているのかを現在まで追跡調査をしている研究です。

これからどのようなことがわかったんですか?

この子どもたちは、今、64歳くらいになっています。この調査から分かったことは、質の高い幼児教育を受けたグループのほうが、学校の成績も優秀で、社会に出てからは収入も高く、より安定した生活を送れていたことでした。

この注目ポイントとして最も大切なことは 、もともと2つのグループにIQの差がなかったことなんですよね。乳幼児期に適した教育を受ける大切さ、そして非認知能力を育むことの重要性がわかる結果です。

“非認知能力”を育てる教育とは

保育・幼児教育で注目される「非認知能力」。 

では、どうやって育むことができるのか、ある認定こども園の取り組みを取材しました。

広島県尾道市にある「因島南認定こども園」。ここで「非認知能力」を育てるために大事にしているのが「子ども主体の保育」。日々の遊びや活動の中で実践しています。

この日は、園の脇を流れる水路で なにやら活動を行っていました。前の日、ここで捕まえたヤゴの餌をどうしたらとることができるか、子どもたち同士で考えていました。

「めっちゃおる!めっちゃおる! 」

この水路にいるカダヤシを捕まえたいようですが、ペットボトルにひもをつけてすくおうとしても、なかなかすくえません。それぞれに、試行錯誤を繰り返しながら、挑戦していました。

先生は、決して、先回りして答えを教えません。

子どもが自分で考え、友達とも相談しながら、 挑戦する様子を見守ります。 

“非認知能力”を育てる「子ども主体の保育」

非認知能力の向上につながる「子どもの主体の保育」とはどのようなものなのか、ポイントを、中坪さんに教えてもらいました。

その①「遊びを子どもたち自身で見つけ出すこと」。これは、先生や親などの大人が決めた遊びを行ったり、 全員が決められたおもちゃで遊ぶのではなく、 子どもが自分の「やりたい」と思うことを見つけ、 遊び込む、夢中になることがポイントです。 興味があることを一生懸命探求したり、 工夫して遊ぶ力が非認知能力の向上につながります。

そして、その②「子どもたちの気持ちを受け止めること」。ついつい大人はああしてほしい、こうしてほしいと思ってしまいますが、ちょっと子どもの声に耳を傾けることが大事だと思います。例えば、子どもが泣いているとき、どうやって泣き止ませようかとばかり思ってしまいがちですが、泣かずにはいられない子どもの気持ちに思いをはせてみたり、怒っているときには、怒らずにはいられない子どもの気持ちに思いをはせてみること、そうやって、子どもたちの気持ちを感じ取り、受け止めていくことが大切です。

「自分の気持ちを受け止めてもらえた」という経験は、 子どもたちに安心感をもたらし、先生との信頼関係の形成や自己肯定感を高めることにもつながります。「こうしたかったんだね」「これが嫌だったんだね」と、 受け止める言葉をかけていきましょう。

さらに、その③の「環境を用意すること」というのは、子どもたちの興味が広がるような素材を用意することです。 子どもたちの興味を常にキャッチし、どのような環境であれば子どもたちが遊びこむことができるのか考えることが大切になります。

「安心」して「夢中」で遊ぶと、子どもは育つ!

中坪さんが、乳幼児期の子どもが最も伸びる、2つの大切な条件を教えてくれました。

「安心」できる環境の中で、「夢中」になって遊ぶということが、子どもの「主体性」を育み、ひいては非認知能力の向上につながっていくと思います。ご自宅でも、そうしたことを意識してあげると、子どもたちは、自分たちの力で成長していきます。

★「ひるまえ直送便」のこれからの放送内容は、ホームページでご確認ください。
https://www.nhk.jp/p/chugoku-hirumae/ts/DKPRN351YZ

★NHKプラスで、1週間の見逃し配信もおこなっています!
https://www.nhk.jp/p/chugoku-hirumae/ts/DKPRN351YZ/plus/

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