【検証編】福島の高校 なぜ上履きにサンダルが多い？

福島の高校はサンダルが多い？

まず身近な福島大学で実態確認。県内をはじめ東北出身者が多く在籍します。上履きの種類と出身地を分けたパネルを持って聞き込み開始！調査前は「くつとサンダルが半々くらい」と予想。

高校時代の上履きが何だったのかパネルにシールを貼ってもらいました。日ごろ意識することが少ない上履き。学生のみなさんも地域の違いに驚いていました。
【回答してくれた学生の声（一部）】
・出身：山形、茨城、千葉など
「土足だった。サンダルの上履きは初めて知った。」
・出身：福島
「高校の上履きはサンダルしかイメージがない。」
・出身：宮城、青森、秋田、新潟など
「紐つきの運動靴でバレエシューズタイプではない。」
・出身：山形
「夏だけサンダルだった。」

4時間で約200名が回答。東北と関東甲信越のデータが多く集まりました。関東甲信越は靴とサンダルが優勢。東北はサンダルが多いという結果。

東北6県を細かくみるとサンダルはほぼ福島。福島は東北で唯一、上履きはサンダルが多数派でした。
この結果に学生のみなさんからも「知らなかった。」、「脱ぎ履きしやすいから地震の時に役に立つのかな？」、「ずっと室内にいるから？」など驚きと不思議の声が。

高校がサンダルを選ぶ理由は？

サンダルが多い理由を調べようと、学生委員会メンバーの母校へ。生徒会のみなさんが手がかりにと見せてくれたのは生徒手帳。校内の履物はサンダルと指定されています。

なぜ指定されるのか？生徒のみなさんに考えてもらうと、「夏はサンダルがいい。暑くて靴は蒸れてしまうから」、「走らせないようにするため？」、「サンダルは甲の部分に名前を書くので生徒を判別しやすい」、「中学までは靴だった生徒が多いので、校則などでサンダルと明文化して混乱を防ぐ？」といった声が。サンダルで過ごすことについては「脱ぎ履きしやすい」、「汚れが目立たない」、「高校からサンダルで驚いたが、慣れると靴より楽」などみなさん好意的に捉えていました。

そこで福島県の高校にアンケートを実施。使用中の上履きと理由を尋ねました。ここでもサンダルの回答が多数。
なお靴は支援学校の高等部や私立高校に多い傾向でした。

サンダル指定の理由には下記のような回答が。
【機能面】
・足元の蒸れ防止　
・脱ぎ履きしやすい
・耐久性があり3年間履きやすい
・洗いやすく乾きやすいため衛生を維持しやすい
・緊急時に動きやすいよう、かかとが高いサンダルを採用
【経済面】
・靴より比較的安価
【教育面】
・体育館やグラウンド専用シューズと区別するため
・かかとをつぶしたり、校内走行を防止

どの理由も納得ですが、「福島ならではの理由」とはまだ言えません。注目したのは「古くから校則」、「具体的な理由は不明」という回答が目立ったことです。福島の高校は伝統的に上履きがサンダルでないと得られない回答だと思いました。

平成初期にサンダルが広まった？

ならばと向かったのは郡山市の老舗靴店。創業大正5年。県内を主に100以上の学校の上履きを扱っています。
さらに県内20の高校に上履きを卸し、その8割がサンダルだそうです。

店主の高松雄一郎さんは、高校の上履きにサンダルが広まったのは、平成初期のバブル経済の崩壊からではと推測。日本経済が低迷する中、家計の負担軽減のため比較的安価なサンダルが広まったのではないか。

さらに高松さんは、福島の高校の傾向として上履き、
体育館用、グラウンド用の3つの靴が必要なことが多いと教えてくれました。このことからも家計の負担軽減や脱ぎ履きの便利さからのサンダル採用は納得できます。
しかし福島ならでは理由は不明のまま。福島の高校にいつサンダルが登場したのか？何がきっかけだったのか？次回は上履きの歴史から調査します。