放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

2007年5月

5.10NHK,受信未契約世帯を訴訟へ

NHKの橋本元一会長が記者会見で,受信料の未契約世帯・事業所を対象に契約を求める訴訟を起こす意向を表明した。NHK は受信契約をしていながら受信料を払っていない世帯等に関しては簡易裁判所を通じて「支払い督促」を行っているが,未契約者に対しての「契約督促」は初めて。

5.11「放送番組委員会」が放送法改正案に反対

「放送倫理・番組向上機構」(BPO)の「放送番組委員会」の有識者委員が,放送法改正案に反対するアピールを発表した。有識者委員は「テレビは,テレビ局の私物でも,政府の持ち物でもなく,民主主義を生き生きとにぎやかに支える広場」だとして,「広場に集まるみんなの知恵と力で」放送局の不祥事をなくしていくことが大切と訴え,「ねつ造」に関する新たな処分を盛り込んだ放送法改正案を批判した。放送番組委員会は,BPOに「放送倫理検証委員会」が発足するのに伴って,この反対声明を最後に解散した。

5.12BPOに「放送倫理検証委員会」発足

BPO は,番組における「ねつ造」等を自主的に審理する「放送倫理検証委員会」(委員長・川端和治弁護士)を発足させた。同委員会は,「虚偽の放送で視聴者に著しい誤解を与えた疑いがある番組」に関して調査・審理し,放送局に勧告や見解を出すことにしており,放送局は審理結果を尊重する。

5.14民放連会長,国民投票法に危惧を表明

民放連の広瀬道貞会長は,「憲法改正手続に関する法律」(国民投票法)が成立したのに伴い,同法が放送局に政治的公平等を定めた放送法に留意するよう民放局に求めていることに関し,「これを端緒にあらゆる放送活動に二重の規制をかけ,公権力による介入の道が開かれることを強く危惧する」,また投票14日前から有料の意見広告放送が禁止されたこと

について「主権者たる国民の正しい判断の途を著しく損ねる要因になりかねない」とのコメントを発表した。

5.14TBSの筑紫キャスター,がんで休養

TBSの報道番組『NEWS23』のキャスター・筑紫哲也氏が,同番組の中で肺がんであることを明らかにした。筑紫氏は15日から番組を休んだ。TBSでは,後任は当面おかないと発表した。

5.15TBS,「楽天」提案に反対を表明

TBSとTBS株を20%弱保有するインターネット大手「楽天」の間で2007年6月の株主総会を前に株主の委任状の争奪戦が展開されているが,TBSが取締役会で「楽天」の株主提案に反対する方針を決めた。「楽天」は三木谷浩史社長ら2人の社外取締役の選任,新たな買収防衛策導入の判断は総会の特別決議とするよう求めている。

5.24NHK,「スーパーハイビジョン」を披露

NHK 放送技術研究所の年に1回の一般公開が24日から27日まで開催された。技研の一般公開は,放送新技術を中心とした研究成果の発表の場だが,現行ハイビジョン映像の16倍の超高精細度映像である「スーパーハイビジョン」と「立体テレビ」等の新技術が注目された。

5.25総務省が受信料制度研究会

総務省がNHK の受信料制度のあり方について研究会をつくることを明らかにした。不公平感のない透明性の高い制度等について研究し,2007年10月を目途に報告をまとめる予定。

5.28ネットによるスポット広告募集 電通,衛星放送局に拡大

電通が,インターネット経由で,テレビCMの制作から広告枠の発注まで出来るスポット広告の募集を開始してから半年経過したが,一定の成果があったとして,募集を衛星放送局(BS/CS)に拡大し,申込みの受付けを開始した。