放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

マカオの「報道の自由」後退に懸念

中国の特別行政区であるマカオで,メーデー集会のデモ隊を威嚇するため警察当局が空に向けて発砲した事件の報道をめぐり,当局が干渉したとしてメディア側の反発を呼んでいる。この事件では,特別行政区の何厚長官が3日後の5月4日に地元の記者達と会見したが,公営のテレビ局しか撮影を許されなかった上,当局の広報担当者が他のメディアに映像を提供する際,編集の仕方について指図したとされている。マカオ報道労働者協会では11日,「当局による報道の自由と編集の独立への干渉を強く非難する」との声明を発表した。これに対しマカオ当局は「報道の自由を完全に尊重している」と釈明しているが,立法会議員の中には,「1999年の中国返還以後,当局によるメディアへの補助金政策などもあって,当局に批判的なことが言いにくくなっている」と指摘する声もある。

台湾がWHOの“取材拒否”に抗議

台湾の記者協会と行政院(内閣)新聞局は5月10日,WHO が台湾の記者に対し年次総会の取材証を発行しないことについて,国連とWHOに抗議した。台湾は中国が反対しているため,毎年WHOへの加盟を申請しているものの実現しておらず,2004年からは4年続けて記者の取材すら認められない状態が続いている。

タイ,公共放送の運営に酒・たばこ税投入

タイ暫定政府は5月15日の閣議で,一時的に国有化されたテレビ局TITV(旧iTV)を公共放送局に転換する法案を承認した。法案は国家立法会議に提出され,可決されれば正式に公共放送局となる。これについてチャロンポップ・スサンカーン財務相は,運営資金を年間20億バーツを上限として,酒税とたばこ税の1.5%を充てる考えを明らかにしている。また法案では,公共放送局は9人で構成される理事会の監督を受け,任期4年の理事は,タイ・ジャーナリスト協会などのメディア組織と女性,子ども,消費者の権利のために働く非政府組織から選ばれるとなっている。

インド,携帯電話向けTVの試験放送が始まる

インドで唯一地上テレビ放送を行っているドゥールダルシャン(DD)は,5月23日,携帯電話向けテレビの試験放送を開始した。試験放送の時間は午前5時 30分から深夜12時までで,視聴できるチャンネルはDD NationalやDD NewsなどDD の8チャンネル。視聴が可能な範囲はニューデリーのアーカーシュヴァーニー・バワン(DD放送センター)から半径10キロ程度まで。放送の方式は欧州の DVB-H で,ノキアなどの大手メーカーが携帯端末市場に参入している。DDのAS Guin技師長によると,DDは向こう6~8か月以内に提供チャンネル数を倍増し,18か月以内にサービスエリアを首都圏全域とムンバイ,コルカタ,チェンナイに拡大する計画である。

パキスタン,初の英語ニュースチャンネル発進

パキスタン初の英語24時間TVニュースチャンネルDawn Newsが,5月24日,衛星試験放送を開始した。記念式典にはムシャラフ大統領が主賓として出席した。Dawn Newsは,パキスタン建国の日に創刊された有力日刊紙Dawnを発行するPakistan Herald Publications社が所有している。

ネパール,203のFM放送局を認可

ネパールの国営通信社RSSが5月20日に伝えたところによると,同国の情報通信省は5月半ばまでに計203のFM放送局に放送免許を交付した。ネパールでは,これまでに地上と衛星合わせて16のテレビ局に放送免許が付与されており,現在は6局が放送を実施している。また,事業免許を受けているケーブルテレビ局は487局となっている。

韓国,地上DMBの中間広告が可能に

放送委員会は5月25日,地上DMB の中間広告(番組の合間に流れる広告。韓国では番組の前後にだけ広告が許されている)を許容することなどを盛り込んだ放送法施行令一部改正案を立法予告した。改正案によれば,地上DMB 事業者は放送番組が45分以上60分未満で1 回,60分以上90分未満で2回,90分以上120分未満で3回,120分以上の場合は4回まで中間広告が可能となる。