放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

04.09.01英デジタルテレビ,全世帯の55%に普及

イギリスの放送と通信分野を規制するOfcom(Office of Communications)は9月17日,第2四半期(2004年6月末)のデジタルテレビ普及状況を発表した。それによると,デジタルテレビ受信世帯は約1,370万となり,全世帯の55%に普及した。伝送路別では,地上波のFreeviewが第1四半期より12.1%増加し約390万世帯。衛星放送のSky Digitalは約703万世帯,無料衛星放送受信は30万世帯,ケーブルは247万世帯である。

04.09.01英BBC Technology社,Siemensに売却完了

BBC は10月1日,100%子会社のBBC Technology社のドイツのSiemens Business Servicesへの売却が完了したと発表した。BBC Technology社は,2001年にBBCの送出技術部門等を本体から分離して子会社化し,本体および他企業の放送技術・コンピュータ関連業務を行っていた。BBCは,7月にBBC Technology社の売却先をSiemens Business Servicesに決定したが,売却後にもBBCの送出技術を中心とした技術関連業務の安定した供給を確保するため,10年間の調達契約を結ぶ協議を重ねていた。なお,売却金は発表されていない。

04.09.01仏CSA,ベルギーのHDTVチャンネルの再送信を認可

仏規制機関のCSAは10月4日,ベルギーの衛星HDTVチャンネルHD1(Euro1080の旧メインチャンネル)の国内での再送信を認可する決定を9月14日に行ったと発表した。この結果,放送法に定められる申告制度に基づき,HD1は,フランス国内で地上波を除いて放送することが可能になった。

04.09.01英Ofcom,第2回PSBレビューを発表 ~デジタル完全移行後のPSBを新提案~

04.09.01伊,Telecom Italiaが有料衛星テレビ事業から撤退

電気通信事業最大手のTelecom Italia(TI)は,9月28日,有料衛星デジタルテレビSky Italiaに出資していた19.9%の株式全てを,残る株式80.1%をもつNews Corpへ売却すると発表した。これでルパート・マードック氏率いるNews CorpがSky Italiaの株を100%掌握し,TIは有料衛星テレビから撤退することとなる。TIの首脳陣は,有料衛星テレビは戦略外の事業であると再三発言していた。

04.09.01独,州首相会議が受信料改定案を修正して承認

来年1月から適用される公共放送の受信料改定案を審議していた州首相会議は,10月8日,テレビ・ラジオ併用料金で,月額0.88ユーロ値上げして17.03ユーロとし,4月から実施することで合意した。独立審査機関のKEFは,今年1月,月額1.09ユーロ値上げして17.24ユーロが妥当とする答申を行っていた。しかし,州首相会議は6月に,値上げ額を1ユーロ以下,実施は3か月遅らせ来年4月1日とすることで合意していた。KEFの答申が覆されることは極めて異例である。値上げ案は,引き続き各州議会で審議され,全16州が批准して初めて成立する。

04.09.01独,初のHDTV放送開始へ

有料衛星テレビ「プルミエール」は,2005年11月1日からドイツ初のHDTV放送を開始する,と9月9日に発表した。当初はスポーツ,映画,ドキュメンタリーの3つのチャンネルをアストラ衛星により放送する予定。なおプルミエールは,10月4日,9月末現在の加入者数が301万405件となり,初めて 300万を超えたと発表した。

04.09.01独KDG,ケーブル事業買収計画を撤回

ドイツ最大のケーブルテレビ事業者Kabel Deutschland GmbHは,他の3事業者iesy,ish,KBWの買収計画を進めていたが,9月22日に計画の撤回を発表した。これは,連邦カルテル庁が,KDGの支配的地位が強まるとして,2度にわたり買収に否定的な見解を示したため,KDGが同庁の最終判断を待たずに計画を取り下げたもの。

04.09.01公共サービス放送の将来像で専門家会議

EU(欧州連合)議長国オランダの政府は,「21世紀ヨーロッパ社会における公共サービス放送の主な役割」と題した専門家会議を9月2日と3日に開いた。会議には公共サービス放送事業者,商業放送事業者,EU委員会の代表が参加した。会議の「結論」は,公共サービス放送事業者が,ラジオやテレビに限らず,様々なネットワークやプラットフォームも利用して,多様で質の高いコンテンツを普遍的に提供し続ける必要があるとしている。