放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

04.09.01デジタル録画機の利用者,CMの92%をスキップ

米調査会社フォレスター・リサーチ社がオンラインでデジタル録画機(DVR)の所有者588人を対象として行った調査結果が9月8日発表された。それによるとDVR所有者は,テレビ視聴時間のうち60%近くをDVRで録画した番組を見ることに費やし,録画番組のCMの92%をスキップしていることが分かった。調査によると,最もスキップされていたのはクレジットカード会社のCMで,映画の予告やユーモアのあるCM,ニュース・スポーツ番組のCMなどはあまりスキップされなかった。こうしたことから,視聴者がCMを見ざるを得ない番組編成や,録画後に早送りしても見えるCMの技術開発の必要性が指摘されている。

04.09.01米,デジタル放送に子ども番組拡大義務付け

FCC (米連邦通信委員会)は9月9日,地上デジタルテレビのチャンネルごとに1週間に3時間の子ども向け教育番組を義務付ける新規則を5人の委員が全会一致で承認した。アナログ放送では1990年の「子供のためのテレビジョン法」で少なくとも週3時間の教育的番組を放送することが義務付けられている。新規則ではこれを拡充し,多チャンネルサービスのチャンネルが24時間放送であるなら,それぞれが1週間に3時間以上の子ども向け教育番組を放送することが義務付けられる。また,番組の放送中は子ども番組であることを示すシンボルマーク「E/I」を画面に表示することを義務付けた。新規則は1年後に実施される。

04.09.01CBS,ブッシュ批判番組の書類ねつ造疑惑で陳謝

米CBS は9月20日,8日の報道番組『60ミニッツ』でブッシュ大統領の過去の経歴を批判するのに証拠としたメモの信ぴょう性に問題があると認め謝罪した。キャスターのダン・ラザー氏は番組で,「ブッシュ大統領が70年代,テキサス州の国家航空警備隊に州兵として所属していた時,上官の命令に従わずパイロットとしての役職を失ったが,その後も政治家の息子として優遇されていた」としてこれを示唆する書類を公開した。書類は,当時ブッシュ大統領の上官が所有していたファイルにあったものだと紹介されたが,14日には,連邦議会の共和党議員38人がCBSニュース社長あてに報道の正確さを立証するよう求めた抗議文を送った。CBSは20日の声明で,「書類の本文が偽造されていた可能性を否定できない」とし,「書類の使用は誤りだった」と認めた。ダン・ラザー氏も同日,別に声明を発表し,「今知っていることを以前知っていたら,問題の書類を使っていなかっただろう」と陳謝した。

04.09.01米上院委,2009年アナログ波終了法案を大幅修正

デジタルテレビの普及の遅れなどで,当初目標だった2006年のアナログ停波が実現不可能になる中,米上院商務委員会は9月22日,マケイン委員長が提出していた2009年1月1日までに停波しアナログチャンネルを返還させるという法案を大幅修正したうえで可決した。修正案では,チャンネル60以上の周波数帯のチャンネルについて,警察や消防など公共安全機関からの要求があれば,2008年1月1日までに返還することとした一方,チャンネル60以上を除いた周波数を使う放送局は,これまで通り,世帯の85%にデジタルテレビが普及するまで返還する必要はないとされている。修正案は上院本会議や下院での審議を経ることになるが,結論は大統領選終了後に持ち越されそうだ。

04.09.01ソニーなど企業連合,米映画会社MGM買収で合意

ソニー・アメリカ,コムキャストを含む企業連合は,MGMの買収で合意に達したと発表した。買収額はおよそ19億ドルの負債を含めて推定49億ドル,米国を代表するメディア複合企業であるタイムワーナーとの競り合いの末,9月23日に最終合意した。これによりソニーとMGMが所有する映画コンテンツ等を,米最大のケーブル会社コムキャストのビデオオンデマンド・プラットホームを通じて配信することが可能になる。またソニーは,コンテンツを配信する新しいケーブルチャンネルの共同運営も検討するとしている。