費増税「大きな駆け込み
需要は見られない」首相

消費税率の引き上げをめぐって安倍総理大臣は、参議院本会議の代表質問で「現時点で把握できるかぎり、大きな駆け込み需要は見られない」と述べたうえで、世界経済の動向を注視し、景気悪化の兆候が見られる場合は万全の対策を講じる考えを強調しました。

公明党の山口代表は、消費税率の引き上げに伴って導入された軽減税率について「軽減税率に対応したレジの注文が殺到して契約が進まず、補助金の申請ができなかったという話も聞いている。実態を踏まえつつ、補助金の活用を含めた支援策を検討してもらいたい」と求めました。

これに対し、安倍総理大臣は「中小企業・小規模事業者が軽減税率に対応するため、レジを導入した場合の補助や、レジを導入しない場合でも簡便に経理を行う方法などについて、きめこまやかに支援や情報提供を行ってきており、引き続き、現場に寄り添った丁寧な対応をしていく。軽減税率制度の円滑な実施と定着に向け、周知広報など、きめこまやかな取り組みを進めていく」と述べました。

日本維新の会の片山共同代表は、関西電力の経営幹部らが多額の金品を受け取っていた問題をめぐり「大きな社会問題となり国民の関心を集めている。関西電力側の対応は甘く、事なかれの隠蔽体質と批判されてもしかたがない。今、急がれることは、第三者委員会などによる全容解明と責任の明確化ではないか」と質問しました。

これに対し、安倍総理大臣は「電気事業者は、電気料金を支払う利用者から不信を持たれることのないよう常に適正な事業運営に努めるべきだ。関西電力は、まずは第三者の目を入れて、徹底的に全容を解明することが不可欠だ。そのうえで、経営問題も含め、再発防止などの措置を講じ、利用者の信頼回復に努めることが必要だ」と述べました。

共産党の小池書記局長は、消費税率引き上げに伴い、来年4月から低所得の世帯を対象に、大学などの入学金や授業料が減免される制度が始まることについて「『消費税増税で大学を無償化する』などというが、引き換えに、国立大学の授業料免除制度が廃止されようとしている。これのどこが高等教育の負担軽減なのか」と指摘しました。

これに対し、安倍総理大臣は「高等教育の就学支援新制度は、真に支援が必要な子どもたちの高等教育への進学を後押しするものだが、支援を受けている学生のうち、比較的所得の高い世帯の学生は新制度の対象外になったり、支援額が減少したりする場合もありえる。継続的な学びを支援する観点から、いかなる対応が可能か、来年の制度施行に間に合うよう早急に検討していく」と述べました。

国民民主党の大塚参議院議員会長は、消費税率引き上げをめぐり「今回の引き上げ前に駆け込み消費はあったのか。2014年4月に8%に引き上げられた際にはマイナス成長となったが、今回は、動向を見極めたうえで、補正予算などにより景気対策を講じる考えがあるか」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「十二分な対策を講じており、現時点で把握できるかぎりにおいて、2014年のような大きな駆け込み需要は見られない。補正予算の編成について、現段階において具体的に想定していないが、世界経済の先行きをしっかりと注視し、下振れリスクが顕在化する場合にはちゅうちょすることなく万全の対策を講じ、経済の成長軌道を確かなものとしていく」と述べました。

自民党の石井参議院幹事長代理は、台風15号による被害への対応に関し、「千葉県では、過去に例を見ないほどの強風により、屋根に被害を受けたケースが多発した。被害状況などを迅速に分析し、再び被害を受けないような復旧・復興、事前に災害に備えた補強や補修など、先回りした防災対応が必要だ」と訴えました。

これに対し、安倍総理大臣は「暴風雨により、極めて多くの家屋に被害が生じたことから、被害認定の調査を弾力的に行うとともに、災害救助法の制度を拡充し、一部損壊の住宅のうち、屋根などに日常生活に支障を来す程度の被害が生じた住宅については、支援の対象とする。1日も早く安心した生活を取り戻せるよう自治体と緊密に連携しながら、復旧復興支援に全力を尽くす」と述べました。

一方、抗議活動が続く香港について、国民民主党の大塚氏は「中国の内政問題であり、関与するには慎重さを要するものの、日本として、中国に平和的解決を呼びかけるべきだ」と指摘しました。

これに対し、安倍総理大臣は「デモ隊と警察との衝突により多数の負傷者が出ていることを大変憂慮する。自制と平和的な話し合いを通じた解決を関係者に求めるとともに、事態が早期に収拾され、香港の安定が保たれることを強く期待する。先般の日中首脳会談でも、私から、1国2制度のもと、自由で開かれた香港が繁栄していくことの重要性を指摘しており、引き続き、高い関心を持って情勢を注視していく」と述べました。

また安倍総理大臣は、地方銀行の経営統合に関して「人口減少などに直面する中、経営体力を強化し、地域における企業の基盤的サービスを維持向上させる効果が期待される。政府としては、地域銀行の経営統合を一定の要件のもとで独占禁止法の適用除外とする特例法案を、来年の通常国会に提出する予定だ」と述べました。