院 代表質問「消費増税
10年程度必要なし」首相

消費税率の引き上げをめぐり安倍総理大臣は、衆議院本会議の代表質問で、安定的な経済再生と財政健全化に一体的に取り組むことで、今後10年程度はさらに引き上げる必要はないという認識を重ねて示しました。

消費税率引き上げ

この中で国民民主党の泉政務調査会長は、消費税率の引き上げをめぐり、「安倍総理大臣は、過去に『今後10年くらいは上げる必要はない』と発言しているが、その根拠を教えてほしい」と迫りました。

これに対し、安倍総理大臣は「私の任期以降について責任を持つことはできないが、安定的な経済再生と財政健全化に一体的に取り組むことにより、今後10年程度は引き上げる必要はないのではないか」と述べました。

国民投票法の改正案

また、泉氏は、憲法改正の手続きを定めた国民投票法の改正案について、「政党によるテレビやインターネットでの広告の規制や、国民投票運動の資金の透明化などは必要か」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「法律が制定された際、各党、各会派でさまざまな議論がなされ、広告放送を含めた運動は、基本的に自由とし、投票の公正さを確保するための必要最小限の規制のみを設ける現在の制度となった。国民投票制度の根幹に関わる事柄であり、国会で議論すべきだ」と述べました。

ホルムズ海峡 安全確保

さらに、安倍総理大臣は、中東のホルムズ海峡の安全確保に向け、自衛隊を派遣する可能性について、「現時点で、平和安全法制に基づいて自衛隊に防衛出動を命ずることは考えていない」と述べました。

公的年金制度

公明党の斉藤幹事長は、公的年金制度について「不断の改善が重要だ。公的年金の『財政検証』でも、国民年金のみに加入するかたに対し、将来受け取れる年金額を手厚くしていくことが重要な課題であることが浮き彫りになった」と指摘しました。

これに対し、安倍総理大臣は「まずは経済を強くすることで、年金の財政基盤を確かなものとし、年金の適用拡大など、老後の安心を支える不断の制度改革を推し進める」と述べました。

豚コレラ

また、斉藤氏は、感染拡大が続く豚コレラについて、「生産者の不安を払拭(ふっしょく)するため、政府は、早期に終息させ、農場防護柵の設置の支援や早期の経営再開に向けた対策などを進めるべきだ」と求めました。

これに対し、安倍総理大臣は「一刻も早い終結に向け、あらゆる対策を総動員する。防護柵の設置支援など野生いのしし対策の強化を図るとともに、ワクチン接種に向けた準備を早急に進めていく。農家に対しては、殺処分した豚への補償や経営再開する場合の支援金の交付などを講じるほか風評被害対策にもしっかりと取り組んでいく」と述べました。

消費税率引き上げ

共産党の志位委員長は消費税率の引き上げについて、「消費税を5%に減税することを強く求める。増税により、消費は落ち込み、働く人の賃金も落ち込んだままだ。8%への増税が経済失政だったことは明らかだ」と指摘しました。

これに対し、安倍総理大臣は「消費税率の8%への引き上げで、基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げ、低所得の方々の国民健康保険料を軽減するなど社会保障を充実させており、全体として見れば判断が誤りだったとは考えていない。今回の引き上げは、全世代型社会保障制度へと大きく転換していくためのものであり、減税は全く考えていない」と述べました。

汚染水処理方法

日本維新の会の馬場幹事長は、東京電力福島第一原子力発電所にたまり続けている、放射性物質を含む水の処理方法をめぐり、「過度に問題視することは国民をリスクにさらすことになる。必要な希釈を行えば、海洋放出できると考える」と指摘しました。

これに対し、安倍総理大臣は「現在、経済産業省の有識者による小委員会で、過去の経験や科学的な知見に十分に基づき、風評被害などの社会的な観点も踏まえ、海洋放出を含めたあらゆる選択肢について検討を行っており、科学的かつ丁寧な議論の上に結論を出していく」と述べました。

憲法改正

また、憲法改正について、安倍総理大臣は「自民党はすでに憲法改正案のたたき台を提示しており、立憲民主党をはじめ、野党各党も、それぞれの案を持ち寄り、憲法審査会で国民の期待に応える活発な議論を行っていただきたい。与野党の枠を超えた議論を深める中で、令和の時代にふさわしい憲法改正原案を策定していただくことを期待している」と述べました。

公明 斉藤氏「非常に前向きな答弁」

公明党の斉藤幹事長は記者団に対し、「多岐にわたる質問を行い、すべてで非常に前向きな答弁を頂いたと思う。消費税増税の影響で、景気を下振れさせてはならないという強い危機感があり、政府と連携しながら、与党としてしっかり見ていきたい」と述べました。

維新 馬場氏「安全運転の答弁」

日本維新の会の馬場幹事長は記者会見で、「答弁はかなり安全運転だったなという印象だ。『憲法審査会での議論が進展しないのであれば憲法改正を大義に衆議院を解散してはどうか』と質問をしたが、安倍総理大臣は完全に無反応だった。機会をみて、これからも問いかけていきたい」と述べました。

共産 志位氏「力のない答弁」

共産党の志位委員長は記者会見で、「聞いてもいない問題にすり替え、肝心なことにはすべて答えないという対応で、力のない答弁だった。消費税が日本経済に何をもたらしたか全く反省がない。引き続き、予算委員会で追及したい」と述べました。