70歳まで就業機会確保
できる法整備進める」首相

全世代型社会保障制度の実現に向けた高齢者の就業促進について、安倍総理大臣は、参議院本会議の代表質問で、働く意欲のある人が70歳まで就業の機会を確保できるよう必要な法整備を進めていく考えを強調しました。

この中公明党の山口代表は全世代型社会保障制度の実現に向けた高齢者の就業促進について「高齢者の就業機会を確保するため、企業や地域の取り組みを後押ししつつ、法改正に向けた議論を促進するとともに、高齢者が安全で安心して働けるよう労働災害を防止する対策も欠かせない」と指摘しました。

これに対し安倍総理大臣は「働く意欲のある高齢者が年齢にかかわらず働くことができる環境を整えることが重要だ。70歳までの就業機会の確保の法制化をはかるとともに、労働災害の防止対策を進めていく」と述べました。

そして、働いて一定の収入がある人たちの年金を減らす「在職老齢年金」制度について「人生100年時代を見据えて公平性にも留意しつつ、高齢者の就労意欲を阻害しない観点からの見直しに向けた検討を進めていく」と述べました。

また、山口氏は消費税率の引き上げに伴って導入された軽減税率について「軽減税率に対応したレジの注文が殺到して契約が進まず、補助金の申請ができなかったという話も聞いている。実態を踏まえつつ、補助金の活用を含めた支援策を検討してもらいたい」と求めました。

これに対し安倍総理大臣は「中小企業・小規模事業者が軽減税率に対応するため、レジを導入した場合の補助や、レジを導入しない場合でも簡便に経理を行う方法などについて、きめこまやかに支援や情報提供を行ってきており、引き続き、現場に寄り添った丁寧な対応をしていく。軽減税率制度の円滑な実施と定着に向け、周知広報など、きめこまやかな取り組みを進めていく」と述べました。

安倍総理大臣は日中関係について「昨年、完全に正常な軌道に戻った。来年の桜の咲くころには、習近平国家主席を国賓として迎え、首脳間の往来だけでなく、経済交流、青年・青少年交流など、あらゆるレベルでの交流を拡大し、日中関係を新たな段階へ押し上げ、日中新時代を切り開いていく決意だ」と述べました。

続いて質問に立った日本維新の会の片山共同代表は、憲法改正について「『国民の関心がないので論議する必要はない』などの意見が堂々とまかり通っている。国民投票法改正案の成立を早急に図り、憲法と改正点の徹底した議論を行うべきだ。国民に国の最高法規について理解し、判断できる素材を提供することは、国会の重要な役割だ」と指摘しました。

これに対し安倍総理大臣は「憲法改正は、国会が発議し、最終的に主権者である国民が国民投票で決めるものだ。そのため憲法審査会において憲法改正についての議論を重ね、国民の理解を深めていくことが私たち国会議員の果たすべき重要な役割ではないかと考えている。自民党は、すでに憲法改正のたたき台を提示しており、立憲民主党をはじめ野党各党もそれぞれの案を持ち寄り、憲法審査会の場で国民の期待に応える活発な議論を行っていただきたい」と述べました。

公明 山口氏「高齢者就業促進で首相の積極姿勢」

公明党の山口代表は記者団に対し、「安倍総理大臣は高齢者の就業促進に積極的に対応する姿勢が表れていた。障害者も含め高齢者の就労環境を整えていく姿勢を後押ししながら、具体的に確立していきたい」と述べました。

一方、憲法改正については「総理大臣は憲法改正を積極的に促すことは控える立場だと思うので、代表質問であえて聞くまでもなかった。むしろ国会側の主体的な対応が問われている」と述べました。