風で切れ目ない対応
遅れの指摘当たらぬ」首相

国会では参議院本会議でも安倍総理大臣の所信表明演説に対する代表質問が始まり、安倍総理大臣は内閣改造によって台風15号への対応が遅れたのではないかと質問されたのに対し、政府全体で切れ目のない対応を行っていたとして指摘はあたらないと強調しました。

この中で立憲民主党の長浜参議院議員会長は、台風15号への政府の対応をめぐり「新内閣は、組閣の対応に忙殺され、すべて官僚任せで、対応が後手に回っていたと断ぜざるをえない。内閣改造と災害への対応と、どちらが国家にとって重要事だと判断したのか」とただしました。

これに対し安倍総理大臣は「政府全体で切れ目のない対応を行っており、内閣改造により、政府の対応が遅れたという指摘は当たらない」と述べました。

また、皇位継承について長浜氏は「退位に関する特例法の付帯決議で、安定的な皇位継承や女性宮家の創設などが重要な課題と位置づけられ、政府は速やかに検討を行うこととされている。速やかに本格的な検討を進めていくべきだ」と求めました。

これに対し安倍総理大臣は「男系継承が古来、例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえながら慎重かつ丁寧に検討を行う必要がある。この課題にはさまざまな意見があり、国民のコンセンサスを得るためには十分な分析、検討と慎重な手続きが必要だ」と述べました。

さらに、政府が皇位継承に伴って実施を検討している恩赦について安倍総理大臣は「恩赦を実施するかどうかや実施する場合の内容については、内閣で制度の趣旨や先例、社会情勢、国民感情などの諸般の状況を総合的かつ慎重に勘案して判断すべきものだ。実施する場合は政府として内容と趣旨を国民に理解いただけるよう真摯(しんし)に説明する」と述べました。

続いて、質問に立った自民党の世耕参議院幹事長は、消費税率引き上げに関連して「大幅な金融緩和が続く中でも、国民の間のデフレマインドは根強く残っている。消費税率引き上げや、不透明さを増す世界経済の情勢を踏まえれば、もう一段階、機動的な財政政策が必要だ」と指摘しました。

これに対し安倍総理大臣は「米中間の貿易摩擦など、不透明さを増す世界経済の先行きをしっかり注視し、下振れリスクが顕在化する場合には、ちゅうちょすることなく機動的かつ万全の対策を講じ、経済の成長軌道を確かなものとしていく」と述べました。

また、世耕氏は日韓関係について「旧朝鮮半島出身労働者問題など、国と国との約束を守らず、兵器に転用されるおそれがある物質の管理体制に不十分な点がある中、毅然たる対応が必要だ。韓国とどのように向き合い、どう健全な関係に戻すのか」と質問しました。

これに対し安倍総理大臣は「韓国は重要な隣国であり、北朝鮮問題をはじめ、日韓、日米韓の連携が重要だ。日韓請求権協定の違反状態を放置するなど、信頼関係を損なう行為を続ける韓国に対し、まずは国際法に基づき、国と国との約束を順守することにより、日韓関係を健全な関係に戻していくきっかけを作ることを求める」と述べました。

そして、憲法改正について安倍総理大臣は「先の参議院選挙などを通じて示された国民の声は憲法改正の議論を行うべきだというものだ。自民党はすでに憲法改正案のたたき台を提示しており、立憲民主党はじめ、野党各党もそれぞれの案を持ち寄り、憲法審査会の場で国民の期待に応える活発な議論を行っていただきたい」と述べました。