給食費免除はマイナンバーカード取得世帯に限定 国会で賛否

岡山県備前市は、新年度から小中学校の給食費などを免除する対象を、マイナンバーカードを取得した世帯に限定する方針ですが、小中学生の学校がない日の昼食代の補助などについても、対象をカードの取得世帯に限る方針を決めました。

これは2月14日、備前市の吉村武司市長が、新年度・令和5年度の当初予算案の説明の中で明らかにしました。

備前市は子育て世帯を支援しようと、今年度から市内の小中学校の給食費や、子ども園や保育園の保育料などを一律で免除していますが、新年度は免除の対象を、家族全員がカードを取得した世帯に限る方針です。

これに加えて、土・日や夏休みなど学校がない日の昼食代として、小中学生1人につき1日300円程度を補助したり、生後6か月から3歳までの子どもを家庭で保育する世帯に対し、1人につき月額3万円を支給したりする、新年度からの新たな子育て支援事業についても、対象をカードの取得世帯に限定する方針を決めました。

吉村市長は「給食費は本来、徴収するのが全国的にもスタンダードになっているので、一律免除の制度をいったん元に戻し、マイナンバーカード取得のインセンティブにしたい。国が進めるデジタル構想を実現するには、カードの普及が欠かせない」と方針の理由を説明しました。
備前市は、関連する条例案や予算案を、2月20日から始まる2月定例市議会に提出することにしています。

立民 備前市の方針を批判

こうした備前市の方針について、国会で議論が交わされました。

立憲民主党は、衆議院本会議で「カードを取得していないことを理由に、行政サービスで不利益をこうむるのは、取得の強制にもつながり、制度の趣旨に反している」と備前市の方針を批判し、政府の見解をただしました。

河野デジタル相 “取得者にメリット提供考えうる”

これに対して、河野デジタル大臣は、一般論としたうえで「マイナンバーカードの普及を推進し、活用してもらうことで、行政サービスの効率化や住民サービスの向上につながることが期待される。自治体で、マイナンバーカードを取得した人にメリットを提供することは考えうる」と述べました。

松本総務相 “サービス停止を要請したことない”

一方、松本総務大臣は「各自治体で、住民の意見や議会での議論などを踏まえて判断いただきたい。カードを取得していない人に対して特定のサービスを停止するよう自治体に要請したことはない」と述べました。