統合する小学校名めぐり混乱 結局現在の校名に 鳥取 倉吉

鳥取県倉吉市に4月に開校する新しい小学校の校名が、住民グループによる直接請求を受けて白紙に戻ったのを受けて、17日、市議会は校名を保護者の代表などで作る委員会が改めて選んだ「打吹至誠」とする条例案を否決しました。
そのうえで、統合する2つの小学校のうちの1つである「成徳」とする条例の修正案を可決しました。

倉吉市で、「成徳」と「灘手」の2つの小学校が統合して4月に開校する新しい小学校の校名について、保護者の代表などでつくる統合準備委員会は、公募した中から「至誠」を選び、条例も制定されました。
しかし、公募では地元の山の名前に由来する「打吹」が全体の4割以上だったのに対し、「至誠」は1人だけだったことなどから、地元の住民グループが決定過程に問題があったとして必要な署名を集め条例の廃止を求める直接請求を行った結果、12月の市議会で条例は廃止されました。

これを受けて統合準備委員会は、「打吹」と合わせ「打吹至誠」とする校名を選び、市は、17日開かれた臨時市議会に校名を決める条例案を提案しました。

これに対し議員からは、▼公募で最も多かった校名、「打吹」がふさわしいとする意見や、▼開校まで時間がないなか、現在の成徳を使う方が学校の看板を変える必要がないといったメリットがあるとする意見が出されました。
そのうえで、議員からは、校名を▼「打吹」とする修正案と、▼「成徳」とする修正案がそれぞれ提案され採決が行われました。

その結果、▼「打吹至誠」と「打吹」とする案は否決され、▼「成徳小学校」とする案が賛成多数で可決されました。

広田市長は、「統合準備委員会で従来の校名は使わないと決めて協議してきた中で、唐突に成徳が出てきて驚いた。これまで時間をかけて検討してきた統合準備委員会に十分、説明して理解を求めるほかはない」と話しています。

校名問題の経緯は

校名をめぐる問題、経緯をまとめました。

新しい小学校は、「成徳」と「灘手」の2つの小学校を統合してことし4月に開校する予定です。校舎は成徳小学校を使います。

去年4月、校名を募った公募には341件が寄せられ、「打吹」は4割以上、「至誠」は1人だけでした。

しかし、地区の代表や保護者、学校職員などでつくる学校統合準備委員会で議論した結果、「至誠」に決まり、市議会でも「至誠」とする条例が可決されました。

これに対し、地元の住民グループは、校名を決めた条例の廃止を求める署名活動を行い、去年12月に広田市長に署名簿を提出して、条例の廃止を求める直接請求を行いました。

これを受けて、市議会でも条例廃止案が可決され、校名はいったん白紙に戻ります。

改めて学校統合準備委員会で話し合った結果、今度は当初、検討されていた2つの案を組み合わせた「打吹至誠」を選びました。

そして、17日の市議会では「打吹至誠」とする条例や「打吹」とする条例の修正案は否決され、結局、統合前の校名の1つである「成徳」とする条例の修正案が可決されました。

一方で、校名について学校統合準備委員会では、以前の学校名を使わずに新しい校名を選ぶことを前提に議論していたということです。

市教育委員会の小椋博幸教育長は、「新しい小学校は以前の学校名を使わないと子どもたちにも話してきたので今回の結論は説明できない。『成徳』を提案した議員に出てきてもらって、保護者などに説明してもらうほかない」と話しています。