阪神・淡路大震災から28年 地震切迫度は

6434人が亡くなった阪神・淡路大震災から、17日で28年です。神戸市など大きな被害を受けた地域では、遺族などが地震が起きた午前5時46分に黙とうするなどして、犠牲者を悼みました。

28年前の平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、建物の倒壊や火災などが相次ぎ、その後の「災害関連死」も含めて、6434人が亡くなりました。


神戸市中央区の公園「東遊園地」では、市民団体や神戸市などでつくる実行委員会による追悼のつどいが開かれ、地震が起きた午前5時46分に静かに手を合わせ、犠牲者に黙とうをささげました。

公園には、犠牲者を追悼する灯籠が、震災が起きた日付の「1.17」と、「むすぶ」という文字の形に並べられました。
「むすぶ」という文字には、震災を経験した人が知らない世代に語り継ぐなど、得られた知恵や教訓を伝えていきたいという思いが込められています。


新型コロナなどの影響で規模の縮小が続いていましたが、ことしは竹灯籠の数を去年の2倍にして、3年ぶりに感染拡大前の規模で開催されています。

一方、市民グループの調査では、感染拡大前に比べて、兵庫県内の市民団体が開く追悼行事の数は7割に、また、1月17日前後に黙とうや避難訓練などを行う学校や幼稚園も6割程度まで減りました。

震災を経験していない世代が増える中、記憶や教訓をどう継承していくかが、一層大きな課題となっています。

地震切迫度 全国31の活断層 阪神・淡路大震災直前と同程度以上

28年前の阪神・淡路大震災を教訓に、国は、内陸で地震を引き起こしてきた活断層の調査を進め、地震の発生確率などのリスクを評価しています。地震が起きる切迫度が阪神・淡路大震災の直前と同じか、それを上回る活断層帯は全国に31あり、専門家はリスクを認識して備えを進めてほしいと話しています。

阪神・淡路大震災きっかけに活断層のリスク評価

28年前の阪神・淡路大震災では、兵庫県南部を震源とするマグニチュード7.3の地震で、大阪府北西部から兵庫県の淡路島にかけて位置する活断層帯の一部がずれ動きました。

この地震を受けて国は、地震調査研究推進本部を設置して、全国の活断層帯のうち、長さがおおむね20キロを超え、地震が起きると社会的に大きな影響が出る活断層帯を重点的に調べ、今後30年以内に地震が発生する確率などリスクを評価し公表しています。

地震発生の切迫度は4ランク 最も高いSランクは全国に31

活断層帯が引き起こす地震は発生間隔が数千年と長いため、確率は大きな値にはなりません。

地震発生の切迫度は4つのランクに分けられ、確率が3%以上は最も高い「Sランク」とされています。阪神・淡路大震災が起きる直前の発生確率は0.02%から8%で、現在の「Sランク」にあてはまります。

全国114の主要な活断層帯のうち、ことし1月1日の時点で「Sランク」が含まれるのは31あります。

このうち「糸魚川ー静岡構造線断層帯」、「中央構造線断層帯」、「日奈久断層帯」のそれぞれ一部区間など、合わせて8つの活断層帯では確率が8%を超え、阪神・淡路大震災の発生前より切迫度が高くなっています。

次いで切迫度が高い「Aランク」の区間を含む活断層帯は35です。2016年に熊本地震を引き起こした「布田川断層帯」は、地震直前の評価で「Aランク」でした。阪神・淡路大震災を引き起こした六甲・淡路島断層帯も一部が、Aランクに含まれています。

地震調査委員会の委員長で東京大学の平田直名誉教授は、「活断層があるということは、過去に大きな地震が繰り返し起きたという重要な事実で、阪神・淡路大震災も活断層の地震が引き起こしている。こうした活断層は日本全国、内陸や沿岸域にたくさんあり、改めて備えをしてほしい」と話しています。

こうした評価結果は、地震調査研究推進本部のホームページなどで見ることができます。

未知の活断層でも大地震が発生 未確認の地域でも対策を

一方、2004年の新潟県中越地震や2008年の岩手・宮城内陸地震など、これまで知られていなかった活断層がずれ動いて地震が起きるケースも相次いでいます。

地震調査研究推進本部は、活断層が確認されていない地域でも住宅の耐震補強や家具の固定など日頃からの備えを進めてほしいとしています。