知床沖 観光船沈没 出航判断の経緯記録残さず国から改善指導も

北海道の知床半島沖で観光船が沈没した事故で、運航会社が去年、別の事故で国の特別監査を受けた際、出航を判断した経緯を記録に残していなかったとして、改善を指導されていたことが分かりました。
11日に開かれる国の委員会では、監査の在り方も含め小型船舶の安全対策について議論を始めることにしています。

先月23日、知床半島の沖合で観光船「KAZU 1」が沈没した事故は、乗客14人が死亡、今も12人が行方不明になっています。

今回の事故では、出航の判断の妥当性が焦点の1つとなっていますが、国土交通省によりますと、運航会社は去年、別の事故で国の特別監査を受けた際、安全管理規程で定められている出航を判断した経緯の記録を残していなかったとして、改善を指導されていたということです。

今回の事故を受けて11日午後、小型船舶の安全対策を検討する国の委員会が初めての会合を開き、監査の在り方や船舶検査の実効性の向上などについて議論を始めることにしています。

一方、11日も沈没現場では、民間の専門業者の船が無人潜水機で行方不明者の捜索にあたっているほか、知床半島から国後島周辺にかけての海上でも、第1管区海上保安本部や自衛隊などが捜索を続けています。

運航会社 行政指導後もアマチュア無線運用か

海道総合通信局の職員は11日午前、沈没した観光船「KAZU 1」の運航会社「知床遊覧船」のある斜里町ウトロを訪れました。

運航会社は去年、安全管理規程に定めている業務用無線ではなく、アマチュア無線で船と連絡を取っていたとして、国から行政指導を受けました。

アマチュア無線は、緊急時を除いて業務での使用が禁止されていますが、運航会社が今回の事故が起きるまでアマチュア無線の運用を続けていた可能性もあることから、北海道総合通信局は実態の把握に乗り出しました。

11日午後から12日にかけて、「知床遊覧船」とウトロで観光船を運航している同業の観光船の運航会社あわせて5社から聞き取りを行い、船などに設置している通信機器も確認したいとしています。

北海道総合通信局無線通信部の山田誠哉部長は、「同業者も含め、事故前、日常的にどのような通信機器を使っていたか聞き取りを進め、利用実態を把握したい」と話しています。