船の通信設備チェック強化 知床観光船沈没で 携帯は変更要請も

北海道の知床半島沖で観光船が沈没した事故で、船の通信設備が不十分だったにもかかわらず、国が船舶検査を通過させたことを踏まえ、国土交通省は、船の通信設備のチェックを強化する対策を発表しました。携帯電話の場合、通信環境が十分でなければ設備を変更させるとしています。

知床半島の沖合で観光船「KAZU 1」が沈没し、14人が死亡、12人が行方不明になっている事故では、船の通信設備が電波の届かないエリアがある携帯電話だったにもかかわらず、船舶検査を通過していたことが明らかになりました。

国土交通省は船舶検査が不十分だった可能性があるという認識を示し、10日、船の通信設備についてのチェックを強化する対策を発表しました。

具体的には、携帯電話を通信設備とする場合、携帯電話会社が公表している「通話エリア図」ですべての航路上で通信が十分にできることを確認し、状況に応じて実際に船を航行させて陸上と確実に通信できるか点検するとしています。

そのうえで、通信環境が不十分な場合、衛星電話など常に通信ができる設備に変更するよう事業者に要請するとしています。

知床沖 観光船沈没 アマチュア無線使用で国から行政指導

北海道の知床半島沖で観光船が沈没した事故で、運航会社が安全管理規程に定めている業務用無線ではなく、アマチュア無線で船と連絡を取っていたとして去年、国から行政指導を受けていたことがわかりました。今回の事故が起きるまでこうした無線の運用を続けていた可能性があり、北海道総合通信局は11日にも会社側に聞き取りを行うことにしています。

先月23日、知床半島の沖合で観光船「KAZU 1」(19トン)が沈没した事故は、乗客14人が死亡、今も12人が行方不明になっています。

現地で事故の対応にあたっている国土交通省の担当者は10日夜、運航会社の「知床遊覧船」が安全管理規程に定めている業務用無線ではなく、アマチュア無線で船と連絡を取っていたとして、去年6月の特別監査のあと、是正するよう行政指導を行っていたことを明らかにしました。

アマチュア無線は緊急時を除いて業務での使用が禁止されていますが、運航会社の関係者はNHKの取材に対し、以前から携帯電話とアマチュア無線を併用していたと話しています。

運航会社は、行政指導のあとも今回の事故が起きるまでアマチュア無線の運用を続けていた可能性があり、北海道総合通信局は実態を把握するため11日にも会社側に聞き取りを行うことにしています。

一方、第1管区海上保安本部も業務上過失致死の疑いで捜査していて、荒天が予想される中での社長らの出航判断や、会社の安全管理体制に問題がなかったかなど調べています。

立民 知床観光船沈没 国の安全管理指導が適切か 国会で追及へ

北海道の知床半島沖で観光船が沈没した事故を受け、立憲民主党は国土交通省へのヒアリングを行い、運航会社に対する安全管理のための指導が適切に行われていたのか国会審議で追及していく方針を確認しました。

知床半島の沖合で観光船が沈没し、14人が死亡、12人が行方不明になっている事故を受けて、立憲民主党は10日午後、国土交通省へのヒアリングを行いました。

この中で国土交通省の担当者は、船の通信設備が電波の届かないエリアがある携帯電話だったにもかかわらず船舶検査を通過させていたことについて「検査方法は十分とは言えなかった」と述べました。

これに対し出席した議員からは「去年の行政指導で適切な指導、改善がなされていれば防げた事故だったのではないか」など、運航会社に対する安全管理のための指導が適切に行われていたのか検証が必要だという指摘が相次ぎました。

そのうえで、国土交通省に対し行政指導などに関する資料の提出を求め、今後国会審議で追及していく方針を確認しました。