中国での人権状況に懸念決議
衆院本会議で採択 五輪開幕前

北京オリンピックの開幕を前に、衆議院は1日の本会議で、新疆ウイグル自治区やチベット自治区など、中国での人権状況に懸念を示す決議を、賛成多数で採択しました。

決議は、自民党や立憲民主党などの国会議員が提出し、1日の衆議院本会議で採決が行われた結果、自民・公明両党や、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、共産党などの賛成多数で採択されました。

決議では、中国での人権状況について「近年、国際社会から、新疆ウイグル自治区やチベット自治区などで、信教の自由への侵害や強制収監をはじめとする深刻な人権状況への懸念が示されている」と指摘しています。

そのうえで、中国政府を念頭に「力による現状の変更を国際社会に対する脅威と認識するとともに、国際社会が納得するような形で説明責任を果たすよう強く求める」としています。

決議を受けて、林外務大臣は「これまで新疆ウイグルの人権状況などに対しても、日米首脳会談やG7の場を含め、わが国として深刻な懸念を表明するなど、価値観を共有する国々とともに連携しつつ取り組んできている。決議の趣旨も踏まえ、政府として、引き続き、国際社会と緊密に連携しつつ着実に取り組んでいく」と述べました。

この決議をめぐっては、自民党などの議員連盟が去年の採択を目指しましたが見送られ、北京オリンピックの開幕前の採択を目指して改めて調整した結果、中国の国名や「人権侵害」という文言は明記せず、名指しでの批判は避ける形となりました。

本会議に先立って開かれた議院運営委員会では、日本維新の会と国民民主党、共産党から、決議には賛成するものの、中国政府による人権侵害をより明確にすべきだったなどの意見が出されました。

自民 古屋政調会長代行「五輪前に決議できたことは一定の成果」

決議を提出した、超党派の日本ウイグル国会議員連盟の会長を務める自民党の古屋政務調査会長代行は、記者団に対し「北京オリンピックの前に決議することが大切だという視点に立ち、文言としては抑制的だが、きょう決議できたことは一定の成果だ。引き続き中国の人権状況を注視し、場合によっては、さらなる決議も含めて対応していきたい」と述べました。