北京五輪・パラ
政府関係者の派遣見送り

来年の北京オリンピック・パラリンピックへの対応をめぐり、松野官房長官は記者会見で、閣僚など政府関係者の派遣を見送り、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長ら3人が出席すると発表しました。

この中で松野官房長官は、来年の北京オリンピック・パラリンピックへの対応について、閣僚など政府関係者の派遣を見送り、オリンピックには東京大会の組織委員会の橋本聖子会長と、JOC=日本オリンピック委員会の山下泰裕会長、パラリンピックにはJPC=日本パラリンピック委員会の森和之会長がそれぞれ出席すると発表しました。

そして「わが国としては、北京冬季大会がオリンピックおよびパラリンピックの趣旨・精神にのっとり、平和の祭典として開催されることを期待している」と述べました。

また松野官房長官は、政府代表団の派遣は予定していないとしたうえで、スポーツ庁の室伏長官が出席しない理由について「今般の北京冬季大会では、新型コロナウイルスの防疫に伴う厳格な行動制限などがなされる中で、スポーツ庁長官として、日本人選手団へ直接の激励などの活動を実施できないと見込まれることから出席しないと聞いている」と述べました。

さらに松野官房長官は「わが国としては国際社会における普遍的価値である、自由、基本的人権の尊重、法の支配が、中国でも保障されることが重要だと考えており、こうしたわが国の立場については、さまざまなレベルで中国側に直接働きかけている。オリンピック・パラリンピックは世界に勇気を与える平和・スポーツの祭典だ。北京冬季大会への日本政府の対応はこれらの点も総合的に勘案してみずから判断を行った」と説明しました。

一方、記者団が「アメリカなどが行う『外交的ボイコット』に当たるのか」と質問したのに対しては「日本政府として日本からの出席の在り方について特定の名称を用いることは考えていない」と述べました。

東京大会組織委員会「政府代表という形ではない」

来年の北京オリンピックに東京大会組織委員会の橋本聖子会長が出席すると政府が発表したことについて、組織委員会は「IOC=国際オリンピック委員会から橋本会長に対し、北京でのIOC総会と開会式への招待が来ており、組織委員会の会長として参加することを考えている」というコメントを出しました。

そのうえで「IOC総会では東京大会の総括の報告が求められており、支援・協力いただいた世界中のアスリートや大会関係者に感謝と敬意をお伝えしたいと考えている」としています。

そして「政府に対しては、組織委員会の会長として北京大会に招待を受け、参加する予定であることは伝えているが、政府からの派遣要請はなく、政府代表という形ではないと認識している」としています。

一方でパラリンピックについては「東京大会の総括の報告は求められておらず、招待も来ていない」と説明しています。

JOC 山下会長「役割を全うしていく」

JOC=日本オリンピック委員会の山下泰裕会長は、政府が来年の北京オリンピックに閣僚など政府関係者の派遣を見送ると発表したことについて「政府は政府の立場で国益というものを総合的に勘案して発表されたと思う。それに対してコメントする立場にはない」と話しました。

また、松野官房長官が山下会長の出席を発表したことを受けて、政府と事前の調整などは行っていないとしたうえで「政府からの派遣という形でいくわけではない。主催者側のIOC委員としての立場、それにJOCの会長という立場でその役割を全うしていく」と話しました。

日本選手団への影響については「まったくないと思う。コロナ禍で海外の状況も見えない、あるいはスケジュールも大幅に変更されるなかだが、今回の北京大会の日本選手団は、ピョンチャン大会と同様の活躍してくれると思う」と話しました。

自民 遠藤選対委員長「政府としての決断を尊重したい」

元オリンピック・パラリンピック担当大臣で、組織委員会の副会長も務める自民党の遠藤選挙対策委員長は記者団に対し「政府としての決断を尊重したい。組織委員会の橋本会長は、IOC=国際オリンピック委員会から招待されていて、この夏の東京オリンピック・パラリンピックを報告するIOC総会に出席しなければならないので、当然、行くことになる。これは政府がどうこうではなく、IOCと組織委員会の関係ということだ」と述べました。