過去最大規模 補正予算成立
総額35兆9800億円

新型コロナウイルスの影響を受けた人などへの支援策が盛り込まれた過去最大となる今年度の補正予算は参議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党などの賛成多数で成立しました。

一般会計の総額が35兆9800億円余りと補正予算としては過去最大となる今年度の補正予算案は20日、参議院予算委員会で与党側の賛成多数で可決されました。

これを受けて20日夕方、参議院本会議が開かれ、討論で
▽自民党は「感染を収束へと確実に向かわせ平穏な国民生活を取り戻す。さらにコロナ後の未来社会を構築する歩みを進めるためには先に決定された緊急経済対策をスピード感を持って実施していくことが何より重要で、その裏付けとなる補正予算案の早期成立が不可欠だ」と述べました。

▽立憲民主党は「国土交通省の『建設工事受注動態統計』はGDP=国内総生産の算出根拠にも使われ予算編成にもかかわる国の基幹統計の1つだ。二重計上され数値が水増しされた事実は看過できない。GDPに影響を与えたとすれば国会議論の前提が崩れる非常に深刻な事態だ」と述べました。

そして採決が行われた結果、自民・公明両党などの賛成多数で可決・成立しました。

補正予算には
▽18歳以下への10万円相当の給付として今年度の予備費を充てる分とは別に1兆2162億円を盛り込んでいるのをはじめ
▽売り上げが大きく減った事業者に最大250万円を支援する費用として2兆8032億円を計上しています。

また
▽経済安全保障の強化に向けて半導体の製造拠点の国内整備を促すための基金に6170億円
▽看護や介護などの現場で働く人の収入の引き上げに2600億円を盛り込んでいます。

官房副長官「迅速かつ適切な執行に取り組みたい」

木原官房副長官は記者会見で「盛り込まれた施策を国民にスピード感を持ってお届けしコロナ禍で傷んだ経済を立て直すとともに、社会経済活動の再開を図り『新しい資本主義』を起動させていくという観点からも迅速かつ適切な執行に取り組みたい」と述べました。

立民 泉代表「岸田首相の『聞く力』 国民のためと言えず」

立憲民主党の泉代表は党の執行役員会で「18歳以下への10万円相当の給付については、われわれの指摘によって一定の方針転換を勝ち取ることができた。岸田総理大臣の『聞く力』は国民のためになっているとは言えず、われわれはそれ以上の『聞く力』を持って国民の声をいち早く国会に伝え、政権担当能力をしっかりと磨いていきたい」と述べました。

公明 山口代表「一刻も早く執行」

公明党の山口代表は記者団に対し「新型コロナで影響を受けた生活困窮者や学生への支援、ワクチンの3回目の接種を無料でできるようにする費用などコロナ対応を中心に緊急性の高いものだ。一刻も早く執行して必要な方々に届くよう全力を挙げていきたい」と述べました。

岸田首相 “年越しに不安抱えている人などの対応に取り組む”

今年度の補正予算が成立したことを受けて、岸田総理大臣は、自民党の役員会で、年末年始を控え生活に困っている人たちなどへの対応に取り組む考えを強調しました。

この中で、岸田総理大臣は、今年度の補正予算が成立したことについて「無事に成立し、心から感謝申し上げる」と、党側の協力に謝意を示しました。

そのうえで「年内は、年越しに不安を抱えている人や生乳が廃棄される可能性がある問題への対応、それに価格転化対策などをしっかり発信し、引き続き政府・与党が一丸となり責任を果たしていきたい」と強調しました。

また、21日に会期末を迎える今の国会について「国土交通省の統計問題など、政府の信頼の基礎を揺るがしかねない問題についても、多くの議論があった。厳正で真摯(しんし)な事実究明と対応により、国民の信頼回復に努めていきたい」と述べました。

さらに、新型コロナの新たな変異ウイルス「オミクロン株」への対応をめぐって「G7=主要7か国で、最も厳しい水際対策を講じてきたが、まだ科学的な評価が確立していると言い難い状況にあり、年末年始の状況を見極めて、以降の対応を考えたい」と指摘しました。

このあと、梶山幹事長代行は記者会見で、補正予算の成立について「予算の執行を通じて、政策の実現や困った方への支援にしっかりと対応していきたい」と述べました。