10万給付で方針転換
「全額現金一括給付も」

18歳以下に10万円相当の給付を行う方法について、岸田総理大臣は、13日の衆議院予算委員会で、自治体の判断で年内からでも、クーポンは使わず、10万円を全額現金で一括給付することも選択肢に加える考えを示しました。

衆議院予算委員会では、自民党が質問を行い、18歳以下への10万円相当の給付の方法を取り上げました。

各地の自治体からは、全額現金で行うべきだとの声が相次いでいることから、政府は、現金5万円とクーポン5万円分で行うことを原則とするものの、自治体の意向も踏まえ、柔軟に運用できる制度の検討を急いでいます。

岸田総理大臣は「自治体の判断で地域の実情に応じて、年内からでも10万円の現金を一括で給付する形で実行することも選択肢の1つとして加えたい。そうした方向で、具体的な制度設計を考えていきたい」と述べました。

10万円相当給付めぐる経過

18歳以下への10万円相当の給付は、先月19日に閣議決定された新たな経済対策に盛り込まれています。

児童手当の仕組みを活用して所得制限を設け、年内に自治体が現金5万円の支給を開始し、来年春の卒業・入学シーズンに合わせて子育て関連の商品やサービスに使いみちを限定した5万円分のクーポンを配ることが基本だとしています。

また、「地方自治体の実情に応じて現金給付も可能とする」とも明記しています。

政府としては、経済対策の効果をあげるため、給付を貯金などに回さずに実際に使ってもらおうと、現金とクーポンに分けて実施したいと説明していました。

しかし、各地の自治体の長からは現金とクーポンの併用では、事務手続きに時間と経費がかかるなどとして、全額現金での給付を認めるべきだとの意見が相次ぎ、政府は、自治体の意向も踏まえ、柔軟に運用できる制度の検討を急いでいました。

松野官房長官「自治体の判断を尊重」

松野官房長官は、午前の記者会見で「これまでも地方自治体の意見を伺いながら、柔軟な制度設計を進めると申し上げてきた。岸田総理大臣の発言は、自治体の判断を尊重する方針を示したものだ。具体的な制度設計は担当の山際経済再生大臣のもとで進められる」と述べました。

一方で「クーポンによる給付は、より直接的、効果的に子どもたちを支援することが可能であり、これに加え、民間事業者の振興や新たな子育てサービスの創出、消費の下支えなどにつながることも期待される。政府としては、引き続き来年春の入学・卒業・新学期に向けての給付は、クーポンが基本という考え方に変わりはない」と述べました。

また、年内に現金を一括給付する際の基準などを問われたのに対し「細かい手続きなどを含め、自治体へのガイドラインとなる実施要領は必要なので、担当部局で検討を進めていく」と述べました。

政府 “条件は設けない” “補助金交付も”

政府は、現金とクーポンを併用する、これまでの基本的な考え方に変わりはないとしていますが、全額現金での給付にあたって、自治体への条件は設けないとしており、事実上、これまでの方針を転換する形となりました。

政府は、今年度の補正予算案が成立したあと、クーポンで給付する場合も含めて、速やかに制度のガイドラインとなる「実施要領」を示したいとしています。

そして、実施要領を示す前に給付が行われた場合は、対象者や金額などが不適切でないかぎり、事後に自治体に補助金を交付して財源を手当てする方針で、自治体の円滑な給付を後押ししたい考えです。

18歳以下への10万円相当の給付について、岸田総理大臣が年内に全額現金で一括給付することも容認する考えを示したことから、東大阪市は、今月23日に一括現金で支給する方針を決めました。

13日開かれた衆議院予算委員会で、岸田総理大臣は「自治体の判断で、地域の実情に応じて、年内からでも10万円の現金を一括で給付する形で実行することも、選択肢のひとつとして加えたい」などと述べ、全額現金で一括給付を行うことも容認する考えを示しました。

東大阪市 10万円を一括現金で支給へ 児童手当の受給者対象

東大阪市は13日、10万円を一括現金で今月23日に支給する方針を決めたと発表しました。

23日の支給の対象になるのは、ことし9月分の児童手当の受給者で、手当が振り込まれる口座に一括で入金されるということです。

東大阪市は、支給に必要な補正予算案を今月21日の市議会定例会の最終日に提出することにしています。

東大阪市の野田義和市長は「本日の衆議院予算委員会での総理の答弁を受け、年内に現金で一括支給できると判断した」というコメントを出しました。