2023/09/15(Fri) 17:00信州学校プロジェクト『松本深志高校』

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学校プロジェクト、今回は、松本深志高校に行ってきました!
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明治9年、開智学校として創立した、およそ150年の歴史がある県を代表する伝統校。
学び舎は当時の趣を今に残し、さながら大学のような重厚感。
先人たちが築き上げてきた歴史の重みを感じることができました。

松本深志高校は探究の授業の一環で、2日間にわたり
ジャンルの異なる外部講師を招き、答えのない問いについて考える22の講座を用意しました。
生徒はその中から自分の学びたい講座を選びます。
「伝えるを深める」をテーマにした私の講座に参加してくれたのは今年入学した1年生34人。
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およそ3時間の講座。前半は紙芝居を使ったプレゼンの授業。
そして、メインは後半の「答えのない問い」。
生徒たちと考えたのは
「災害報道は何のため?」と「テレビがこれから果たす役割は?」の2つです。
正解があるわけではないので、とても難しい問いです。
私は4年前の台風19号水害の時の取材をもとに、
水害で、自宅やりんご畑、職場に大きな被害が出た方の取材や避難所での取材の経験から、
傷ついた方にカメラを向けたり、話を聞きだすことの葛藤や戸惑いを生徒に話しました。
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私自身、これまで災害取材を重ねてきた中で、常に自問自答しているのは、
この取材は何のためかを考え続けることでした。
「寄り添う」という言葉がありますが、本当の意味では被災された方と同じ状況ではないし
その方たちの気持ちを100%理解することは不可能です。
どんな表情で、言葉で、態度で取材させてもらうのか
まさに答えのない問いを自らに向け続けます。

生徒からは「もし田中さんが被災者の立場でカメラを向けられたら取材を受けますか?」
という質問が。
はっとさせれると同時に、この視点はとても大事だと思いました。
私たちは、被災された皆さんの取材をさせてもらうときに、
皆さんの言葉や状況を多くの人に伝えることで
今困っていることや、要望を多くの人に伝え、状況の改善に少しでもつなげられたら。
また、わがこととして、今後の対策に役立ててほしいとの思いで取材をお願いしています。
しかし、いざそれが自分だったら本当にその思いだけで取材を受けられるだろうか。
「寄り添う」は常に自分事として考え続けることなのだと改めて考えさせれました。
また、「つらい状況だけでなく、その中での希望や人の強さも伝えてほしい」とか、
「一時ではなく、その後の復興までの歩みもちゃんと継続して伝えることが大事」など
率直な意見交換ができて、大切なことを生徒たちと考えることができました。

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さらに今後のテレビの役割についても
「誰でも発信できる時代だからこその情報の正確性や事実確認の重みを感じる」や
「テレビの影響力の大きさはすぐに消えないからこそ、
取材先のその後も考えて向き合う必要がある」など、
私たちが今後も大切にしなければいけない根本を
若い世代の皆さんと考えることができました。
10代半ばのデジタルネイティブ世代の皆さんにとって、
テレビファーストの時代ではないかもしれませんが
情報を発信する大切さ、怖さはどんな媒体になっても変わりません。
誰でも発信者になれるからこそ、
「この情報は誰のため、なんのためか」という高い意識を持ち続けることが大切ですね。
積極的に手を挙げて、自分の考えを発表してくれた
生徒の皆さん、講座が終わってからも質問に来てくれた生徒の皆さん
本当にありがとうございました。

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これからも学校プロジェクトでは多くの皆さんとたくさん交流していきたいと思うのでお気軽にお声がけください!

お申込みはこちらから。

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投稿者:田中寛人 | 

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