【特集】乳がん情報まとめ セルフチェックや検診・治療法、再発について

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【特集】乳がん情報まとめ セルフチェックや検診・治療法、再発について

乳がんは、日本人女性に最も多いがん。40代後半~50代に特に多いのが特徴です。早期の段階で適切な治療をすれば、約9割が治るといわれています。乳がんリスクがわかるチェックや検診について、また手術・乳房再建・薬といった治療の最新情報などをまとめました。

乳がんとは?

乳がんとは、乳腺組織にできるがんです。乳房には、小葉という母乳を作る組織と、小葉で作られた母乳を乳頭まで運ぶ乳管がありますが、乳がんが発症する場所は約90%が乳管で、5~10%が小葉です。

乳房の断面図

どんな人が乳がんになりやすいのでしょうか?
乳がんの7割が女性ホルモンのエストロゲンが関係しているため、エストロゲンの分泌が高くなる月経の回数が多い人ほど、乳がんになりやすいといえます。

乳がんになりやすい人

【乳がんになりやすい人】

  • 40代後半~50代に多い
  • 初潮が11歳以下
  • 閉経が55歳以上
  • 初産が30歳以上 出産経験がない
  • 飲酒や喫煙、肥満なども乳がんを発症する要因

こうした条件にあてはまる人は、乳がんになる可能性が高いので、とくに注意が必要です。



乳がん セルフチェック

乳がんは、体表にできるがんのため、自分で見つけることができる数少ないがんの一つです。月に1回は、自分で乳房にしこりや変形がないかどうかをチェックすることをおすすめします。

セルフチェックを行うときは、上半身裸で行います。
閉経前の人は、乳房が張っていない月経後、4日~1週間ほど経ってから行うとよいでしょう。

【セルフチェックのやり方】

乳がんセルフチェックの方法
乳がんセルフチェックの方法

1.まずは『くぼみ』や『ひきつれ』が無いか よく見る
2.乳頭をつまみ、血のような分泌物がないかもチェック
3.お風呂などで石鹸をつけた指を胸に押し当て、小さな渦を描くように滑らせて『しこり』や『こぶ』がないかチェック

おやすみ前など、あおむけに寝てタオルを背中に入れて行うチェック方法もあります。

おやすみ前などに行う乳がんセルフチェック方法

4.あおむけの状態で胸に指を押し当て、指を外から内へ動かしながら『しこり』や『こぶ』がないかチェック

乳がんによるしこりは、多くの場合、触れるとくるみのように硬くてゴツゴツした感触です。
一方、乳がん以外の病気によるしこりは、グミのように軟らかくて動くことが多いようです。ただし、気になることがあったら、医療機関を受診しましょう。

写真つきでわかりやすく解説している「乳がんセルフチェック」のやり方はこちら
矢方美紀さんの『#乳がんダイアリー』と乳がんセルフチェックの記事はこちら



遺伝的な乳がんのリスク チェックリスト

乳がん全体のうち、5~10%は遺伝的な影響によるものです。
遺伝的に乳がんになりやすい人がわかる、チェックリストがあります。

※下にあるバナーをクリックするとチェックリストがあります。

遺伝的に乳がんになりやすい人チェックリスト



遺伝性乳がん卵巣がん症候群の検査

遺伝性の乳がんにもいくつか種類がありますが、現在明らかになっている中で最も多いのが「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」です。

遺伝性乳がん卵巣がん症候群とは、BRCA1遺伝子あるいはBRCA2遺伝子という私たち誰もが持っている遺伝子に、生まれつき変異がある状態をいいます。
BRCA1またはBRCA2遺伝子に変異があると、変異がない場合にくらべて、下記のようなリスクがあることが分かっています。

遺伝性乳がん卵巣がん症候群の特徴

【遺伝性乳がん卵巣がん症候群の特徴】

  • 乳がんの発症リスクが6~12倍に高まる
  • 若い年齢での発症(30代~40代前半での発症が多い)
  • 両方の乳房にがんができやすい
  • 卵巣がん(卵管がん・腹膜がんを含む)の発症リスクが高まる
  • 男性乳がん、すい臓がん、前立腺がんの発症リスクが高まる

遺伝性乳がん卵巣がん症候群の検査と治療について詳しく知りたい方はこちら



乳がんの治療法

乳がんと診断されたら、まず手術が考えられます。ただ、抗がん剤による治療が効果的ながんのときは、抗がん剤でがんを小さくしてから手術を行う場合があります。
一方、がんが骨や肺といったほかの臓器に転移したときは、手術での完治は困難なので、原則として全身に効果のある薬物療法が行われます。

乳がんの手術には、2タイプあります。
乳がん治療の基本は手術です。技術が進歩し、傷痕の目立たない手術も可能になってきています。手術には、乳房温存手術と乳房切除術の2つの方法があります。

乳房温存手術

がんを周囲の乳腺と一緒に除去するのが乳房温存手術です。
一部分だけを切り取る手術なので、自分の乳房を残すことができます。

乳房温存手術

乳房温存手術は、がんを切除しても、乳房の変形が少なく、左右差もなく保てると判断された場合に選択することができます。

乳房切除術

がんができている乳房を全て取るのが乳房切除術です。この手術は、同じ乳房内にいくつもがんができている場合や、がんを取ると乳房が大きく変形する場合などに行われます。

乳房切除術

最近では、乳房を切除後、乳房を作り直す乳房再建術が保険適用で行えるようになったことから、乳房切除術を選択する患者さんが増えてきました。また、遺伝性の乳がんの場合は、温存した乳房に再びがんができやすいので、乳房切除術が選択されることもあります。

乳がんの治療法、手術・再建術・薬物療法について詳しく知りたい方はこちら
記事【患者体験談】「乳房の全摘から乳房再建へ」はこちら



乳がんの再発

多くの乳がんは、母乳を乳頭まで運ぶ乳管にできますが、がんが乳管内にとどまっている場合は、非浸潤がんと言います。この状態は、まだ早期の状態なので、転移することはありません。

一方、がんが進行して、乳管の壁を破った場合は「浸潤がん」と言います。

浸潤がん

この状態になると、乳房内やそれ以外の臓器にもがんが転移する危険性があります。
乳管から外へ出たがん細胞は、体のどこかへ潜みます。最初に治療するときは、手術や薬、放射線などで、がんを攻撃しますが、それでもしぶとく生き残ったがん細胞が、その後大きくなって見つかると考えられています。これが「再発」です。

乳がんの再発の種類、症状、治療法について詳しく知りたい方はこちら



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乳がんに関する質問

NHK健康チャンネルに掲載されている「乳がん」に関する質問を一部抜粋して紹介します。

乳がんの早期発見について

乳がんの再発と転移について

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