社会や政治に関する世論調査

失速した菅民主党政権

~「参議院選挙全国世論調査」から~

政権交代から10か月、7月の第22回参議院選挙で、民主党は改選議席を10減らし、敗北した。自民党が改選第一党になり、みんなの党が躍進した。民主党は非改選とあわせて、参議院で過半数割れに追い込まれ、衆議院と参議院で多数派が異なる「ねじれ」の状態となった。NHKでは、今回の参議院選挙に当たって、投票の3週間前からあわせて4回の全国世論調査を実施した。この調査結果を中心に選挙結果の背後にある有権者の意識を探るとともに、投票の 1週間後に実施した定例の政治意識調査の結果から、選挙結果をどう受け止めたのか分析を行った。

6月に発足した菅内閣の支持率は、発足直後は61%で、前の鳩山内閣末期から「V字回復」を果たした。しかし、菅総理大臣の消費税をめぐる発言の後、急激に落ち込み、投票直前には43%と、内閣支持率は1か月で20%も下がった。

この投票率の低下と、ほぼ同じ形で参議院選挙への関心も下がっていった。投票日が近づいてきても、投票先が決まっていないという人が目立った。

投票先については、数字の上では民主党が他の政党を上回っていたが、支持政党別に投票先を分析すると、民主党が勝利を収めた前回の参議院選挙に比べ、民主党支持層を固めきれず、いわゆる「支持なし層」や他の政党の支持者にも食い込むことができていないことがわかる。

「民主党の単独過半数をのぞむかどうか」を聞いた結果をみると、菅内閣の発足直後は「望ましい」と考える人が多かったが、投票1週前には「望ましくない」が「望ましい」を上回った。

消費税の税率引き上げについては、投票直前の調査では「賛成」26%、「反対」36%、「どちらともいえない」33%だった。反対の人では、「民主党の単独過半数を望まない」という人が半数を超えた。しかし、「反対」という人の投票予定は民主党を含めて、各党に分かれている。

選挙結果については「満足」と「不満」がそれぞれ半数近くで、民主党が敗北した原因については「政権運営への不満」が最も多かった。一方、改選第一党になった自民党の政権復帰については「期待しない」という人が60%を占めた。

「ねじれ」状態になった国会については、「与党と野党が政策ごとに連携すべき」という人が最も多く、有権者が与野党の話し合いを求めていることがわかる。

世論調査部(社会調査)  関谷道雄
編成局(編成センター)  藤岡隆史